冬の夜、布団に入ったころに天井から「カリカリ」「トトトッ」と音がする。そんなとき、まず疑われるのがねずみです。ねずみは寒さに弱く、10〜11月ごろから暖かい家の中に入り込んでくるため、この時期に相談が増えるといわれています。対策の中心は、捕まえることよりも、入り口をふさいで住みつかせないことです。この記事では、冬に天井からねずみの音がするときの対策として、音の主の見分け方、入り口の探し方とふさぎ方、粘着シートや殺鼠剤を使うときの注意、業者に頼む目安を順に紹介します。
冬に天井裏が騒がしくなる理由と、音の主の見分け方
寒くなると暖かい家の中へ入ってくる
目黒区の「ネズミの被害を防ぐために!」は、ねずみは寒さに弱く、冬や夜によく侵入してくると説明しています。東京都の「ねずみについてよくある質問&回答集」では、平成11〜15年度の都内の相談件数は10月と11月が最も多く、冬は夏の1.5〜2倍ほどでした。
東京都の「都民のためのねずみ防除読本」によると、種類が分かる相談の9割以上はクマネズミです。電線やパイプを伝って高いところへ上がり、天井裏や壁の中に巣を作ります。動くのは主に人が寝静まった夜中です。
放っておくと困ること
東京都の読本は、冷蔵庫やテレビの裏に作られた巣の近くで、かじられた電気コードがショートして火事になることがあると注意しています。目黒区は、ねずみがサルモネラなどの食中毒菌を持ち歩くため、台所や調理器具の汚れに気をつけるよう呼びかけています。
ねずみか、ハクビシンやイタチか
音の主がハクビシンやイタチのこともあります。小刻みな軽い足音やかじる音ならねずみ、重い足音なら大きな動物、とよくいわれますが、音だけで決めるのは難しいので、ふんの形やすき間の大きさもあわせて見ます。
| ねずみ | イタチ | ハクビシン | |
|---|---|---|---|
| 入り込めるすき間 | 1〜2cmほど | 3cmほど(500円玉大) | 直径8cmほどの穴 |
| ふん・におい | 細長い米粒のようなふん(長さ1cmくらい) | 天井裏で子育てをすると、ふんや尿のにおいがひどくなることがある | 果物の種が混じった棒状のふん(長さ5〜15cmくらい)を1か所にためる |
| 自分で捕まえてよいか | 許可は要らない | 許可が要る | 許可が要る |
出典:ねずみとハクビシンは町田市のアライグマ・ハクビシン防除事業の資料、イタチは大分市「イタチの対策について」。
町田市の資料によると、ハクビシンなど野生のほ乳類は鳥獣保護管理法の対象で、捕まえるには都道府県知事の許可が要り、天井裏に入られて困っていても許可なく捕まえれば法律違反です。家に入るドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミは対象外です。イタチも捕まえるには許可が要ると大分市は案内しています。
マンションやアパートで聞こえるのが歩く音や物を落とす音なら、上の階の生活音かもしれません。その場合は上の階の足音への対策を参考にしてください。

入り口を見つけてふさぎ、えさと巣の材料を断つ
指が入るすき間は入り口になる
東京都の読本では、クマネズミが出入りできる穴は1.25cm。目黒区は、子ねずみなら幅1.5cm(大人の指が第二関節まで入るくらい)、大人でも2.5cm(500円玉くらい)あれば通れるとし、「床下に入ることができれば、天井裏にも行けると思ってください」と書いています。目黒区の保健所が令和2年度に相談者の家を調べた結果では、屋外で入り口になりうると指摘した場所のうち、床下の通風口と、壁や基礎の穴・すき間がそれぞれ約28%でした。
入り口の見つけ方
ねずみがいつも通るところには、体の脂と汚れが付いた黒光りする跡が残ります。東京都の読本は、この跡やかじり跡、ふん、足跡を手がかりに入り口を探すよう勧めています。明るいうちに家の外を一周し、家の中もあわせて、次の場所を照らして見ます。
- エアコンの配管や電線が外壁を通る部分
- 屋根の下(垂木と外壁の間)や軒下のすき間
- 床下や屋根の下の通気口、雨戸の戸袋
- 閉まらなくなった換気扇、基礎や外壁のひび割れ
- 家の中では流し台の下の配管まわり、押し入れ
場所ごとのふさぎ方
東京都の読本は、入り口さえ見つかれば手近な材料でふさげるとし、小さなすき間には金属たわしや亀甲金網、燃えないパテを詰めるよう勧めています。
| 場所 | ふさぎ方 |
|---|---|
| 配管や電線が壁を通る部分 | 燃えないパテやモルタルで埋める。急ぐときは金属たわしを詰める |
| 雨戸の戸袋 | 丸めた亀甲金網や金属たわしを押し込む |
| 屋根の下 | 金網を折って差し込むか、角材を入れる |
| 通気口 | 格子が壊れていたら全体に金網をかぶせる。網目は1cm以下 |
| 換気扇 | 油汚れで閉まらない防火ダンパーを掃除する |
目黒区によると、台所用のステンレスたわしは手でちぎって詰めやすく、金網はハサミで切れるので広めのすき間に向きます。配電盤につながる電気配線のすき間は電気工事の業者に、天井裏や高い場所の作業は専門業者に頼んだほうがよいと東京都の読本は書いています。点検口からのぞいて照らす程度にとどめ、人が乗るつくりではない天井板の上には乗らないでください。
ふさぐ前に、中に残っていないか確かめる
天井裏で音がしている最中に全部ふさぐと、ねずみを閉じ込めてしまいます。名古屋市は、閉じ込めたままふさぐと中で暴れたり死んだりするおそれがあるとしています。杉並区も、出入り口を見つけたら粘着シートなどで駆除してからふさぐよう案内しています。
えさと巣の材料を置かない
東京都の読本は、家の中を住みにくくする方法として次のような例を挙げています。
- 食品はふた付きの容器や扉の閉まる戸棚、冷蔵庫へ。ポリ袋や段ボールのままだとかじられる
- 仏壇のお供え物は夜に片づけ、ペットの餌は食べきる量にする。生ごみはふた付きの容器へ
- 衣類やタオルはプラスチックの収納ケースへ。段ボールは使わない
ゴキブリもねずみのえさになるので、ゴキブリの駆除と予防もあわせて進めます。すき間ふさぎは虫よけにもなり、秋の虫を入れないすき間のふさぎ方と道具はほぼ共通です。

粘着シートと殺鼠剤の使い方、片づけと業者への相談
粘着シートは通り道に何枚も並べる
東京都の読本が挙げるコツは次のとおりです。
- 通り道全体に何枚も並べる。目黒区も、壁際の狭い範囲にたくさん置くのがコツとしている
- シートの上に餌を置かない。ねずみが立ち止まり、逃げられやすくなる
- 置き場所は少なくとも3日は変えない
水やほこりが付くと効き目が落ちます(杉並区)。犬や猫、小さな子どもの手が届かない場所に置きます。
殺鼠剤は天井裏のねずみには効きにくい
- 天井裏にいるねずみは餌を食べないため、殺鼠剤の効果は期待できない(杉並区)
- 市販の殺鼠剤のほとんどはドブネズミ向けで、クマネズミには効きにくい(東京都の読本)
- 食べたねずみがどこで死ぬかは分からない。目黒区は、屋根裏で死んで腐るおそれがあるため、冬以外の使用はすすめていない
- ペットや子どもが誤って食べないよう注意が要る(東京都の読本)
家の中で死なれたくないなら、殺鼠剤ではなく、わなで捕る方法がよいと東京都の回答集は答えています。
ふんや死骸を片づけるとき
- 使い捨ての手袋とマスクをつけ、素手で触らない。ふんは掃き散らさず、ペーパーでつまんで袋に入れる
- ふんのあった場所は消毒用アルコールで拭く程度でよい。調理台や食器はよく洗って消毒する(東京都の回答集)
- 捕まえたねずみは可燃ごみで出せる自治体が多い。出し方は清掃事務所などに確かめる(同)
- 死骸や巣を残すとイエダニが人を刺すことがあるので取り除き、まわりにダニ用の殺虫剤をまく(同)
業者に頼む目安と選び方
入り口が高いところや天井裏の奥にある、ふさいでも音やふんが続く、壁の中で音がする、といったときは相談します。相談先は住んでいる区市町村の担当部署です。東京都多摩小平保健所の案内によると、保健所は駆除作業はしないものの、対策を助言し、手に負えない場合は駆除業者の団体を紹介しています。
東京都の読本は、駆除は調査、捕獲とすき間ふさぎ、効果の確認と複数回の作業になるため、見積書をもらって納得できるまで説明を聞くよう勧めています。必要以上に不安をあおる業者や、ねずみと関係のない作業を強く勧める業者は適切ではないとしています。

よくある質問
音がしなくなったら、もう出ていったと考えていいですか?
まだ安心はできません。目黒区は、ねずみは住みついても多くは家の中と外を行き来していると説明しています。静かな夜が続いても、すき間が残っていればまた入ってくるので、ふさぐ作業は続けます。
超音波やハッカのにおいで追い払うグッズは効きますか?
目黒区は、一時的に効くことはあってもすぐに慣れてしまい、それだけで駆除できた例はないとしています。使うとしても、すき間をふさぐ作業の補助と考えます。
ハクビシンかもしれないとき、自分で捕まえてもいいですか?
許可なく捕まえることはできません。板橋区のように、条件を満たせば自治体が委託した業者が箱わなを設置し、費用も負担するところもあります。まずは市区町村の担当窓口に相談してください。
賃貸住宅で天井から音がするときは?
まず管理会社か大家さんに連絡します。東京都の読本は、集合住宅は入居者全体で対応する必要があり、賃貸なら家主が中心になって被害や入り口を調べるよう勧めています。1部屋だけで駆除しても、ほかの部屋から入ってくることがあるためです。

まとめ
冬に天井からねずみの音がするときの対策は、捕まえるより先に、入り口をふさいで住みつかせないことが基本です。
- 寒くなる10〜11月ごろから相談が増える。天井裏のねずみは多くがクマネズミ
- 米粒くらいのふんならねずみ、種の混じった長いふんがたまっていればハクビシンを疑う。ハクビシンとイタチは許可なく捕まえない
- 1〜2cmのすき間が入り口になる。ステンレスたわしや金網、パテでふさぐ
- 殺鼠剤は天井裏では効きにくく、誤食や死骸に注意。粘着シートは通り道に何枚も
- 高いところや天井裏の作業は業者へ。見積書と説明を確かめてから頼む
まずは明るいうちに家の外をひと回りして、配管まわりや通気口のすき間を確かめ、見つけたところからステンレスたわしを詰めてみてください。


