ほうとうは、小麦粉を練って幅広に切った麺を、かぼちゃなどの野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込む山梨県の郷土料理です。作り方の要は、生めんを下ゆでせず、打ち粉がついたまま汁に入れること。打ち粉と煮くずれたかぼちゃが汁にとろみをつけ、麺に味噌の味がよくからみます。この記事では、かぼちゃと味噌で作るほうとうの作り方を、4人分の材料の目安、かぼちゃの切り方、具と麺を入れる順番、味噌を入れるタイミングの順に紹介します。市販の生めんと顆粒だしを使えば、下ごしらえを含めて40分前後が目安です。
ほうとうは、生めんを下ゆでせずに味噌の汁で煮込む料理

ほうとうは、小麦粉を練って薄くのばし、幅1cmほどに切った平たい麺を、野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込んで食べる料理です。山梨は山あいの土地が多く米作りに向かなかったため、小麦を使ったほうとうが日々の食事として根づいてきました。農林水産省のにっぽん伝統食図鑑「ほうとう」でも、山梨県の郷土料理として紹介されています。
うどんとの違いは「塩」と「下ゆで」
見た目は太いうどんに似ていますが、麺の扱い方が違います。
| 比べるところ | ほうとう | うどん |
|---|---|---|
| 麺に入れる塩 | 入れないか、ごく少量 | 入れて打つのが一般的 |
| 下ゆで | せずに、生のまま汁で煮込む | ゆでてから、つゆや汁に入れる |
| 汁の状態 | 打ち粉と野菜でとろみがつく | 比較的さらりとしている |
うどんの麺は塩を入れて打つため、ゆでずに汁で煮ると塩が汁に溶け出します。ほうとうの麺は塩をほとんど使わないので、生のまま煮込んでも汁が塩辛くなりにくく、麺の表面の打ち粉もそのまま汁のとろみになります。コシは強くありませんが、そのぶん、やわらかく煮えた具と汁によくなじみます。
かぼちゃが定番の具になっている理由
具は季節の野菜やきのこ、肉など自由ですが、なかでもかぼちゃは定番で、山梨には「うまいもんだよ かぼちゃのほうとう」という言い回しがあるほどです。皮つきのまま角切りにしたかぼちゃは、煮込むうちに角がくずれて汁に溶け、甘みとぽってりしたとろみを加えます。煮物では避けたい煮くずれが、ほうとうではおいしさの一部になるわけです。形よく煮る考え方は「かぼちゃの煮物が煮崩れしないコツ|煮汁は少なめ、途中で触らず、竹串が通る少し手前で火を止める」で紹介しているので、比べてみると違いがよく分かります。
4人分の材料と、かぼちゃ・野菜の下ごしらえ

材料の目安(4人分)
| 材料 | 分量の目安 | メモ |
|---|---|---|
| ほうとうの生めん | 300〜400g | 市販品は袋に書かれた人数分。打ち粉はついたままでよい |
| かぼちゃ | 1/4個(約300g) | 皮はむかずに使う |
| にんじん | 1/2本 | 里芋やごぼうを足してもよい |
| 大根 | 5cmほど | じゃがいもに替えてもよい |
| 白菜 | 2〜3枚 | 芯と葉に分けておく |
| しいたけ | 4枚 | しめじなど好みのきのこでもよい |
| 長ねぎ | 1本 | 仕上げに入れる |
| 油揚げ | 1枚 | 豚肉や鶏肉に替えてもよい |
| だし | 1.2〜1.5L | 煮干しや昆布でとる。顆粒だしでもよい |
| 味噌 | 大さじ5〜6 | 塩気は味噌ごとに違うので、味をみて加減する |
かぼちゃは「くずす用」と「残す用」に切り分ける
かぼちゃはスプーンで種とわたを取り、皮をつけたまま切ります。おすすめは、大きさを2通りに分けることです。
- くずす用(全体の3分の1ほど):2cm角くらいに小さく切る。早めに入れて煮くずし、汁のとろみと甘みにする
- 残す用(残り):4cm角くらいの大きめに切る。麺と一緒に入れて、形と食べごたえを残す
全部を同じ大きさにすると、溶けて形がなくなるか、反対にとろみが出ないかのどちらかに寄りがちです。皮が硬くて包丁が入りにくいときは、切る前に電子レンジで1〜2分温めると切りやすくなります。
ほかの野菜の切り方
にんじんと大根は5mmほどの厚さのいちょう切り、白菜は芯をそぎ切りにして葉はざく切り、しいたけは薄切り、長ねぎは斜め切りにします。油揚げは熱湯をかけて油抜きし、短冊に切ります。硬い根菜を薄めに切っておくと、かぼちゃと火の通りがそろいやすくなります。
麺を手打ちするなら
市販の生めんがなければ、中力粉(うどん用の粉)で打つこともできます。一般的な目安は、4人分で粉300gに、ぬるま湯135〜150mlほど。塩は入れないか、ほんのひとつまみにとどめます。ぬるま湯を少しずつ加えてこね、ひとまとまりになったら打ち粉をしながら厚さ2〜3mmにのばし、1cmほどの幅に切ります。こねた生地を少し休ませると、のばしやすくなります。粉の種類やその日の湿気で必要な水の量は変わるので、最後の少量は様子を見ながら足してください。
煮込む順番は、根菜とかぼちゃ、味噌の半量、生めん、残りの味噌

- だしを用意する:大きめの鍋にだしを用意します。煮干しでとるなら、頭とはらわたを取った煮干しを水に30分ほど浸けてから火にかけ、沸いたら弱火で5分ほど煮出して取り出します。
- 根菜と、くずす用のかぼちゃを煮る:にんじん、大根、小さく切ったかぼちゃ、油揚げを入れて中火にかけます。沸いたらアクを取り、根菜がやわらかくなりかけるまで10分ほど煮ます。
- 味噌の半量を溶き入れる:麺を入れる前に、味噌の半分ほどをお玉の中で溶きのばして加えます。塩気のない麺に、煮込みながら味をしみこませるためです。
- 生めんと残す用のかぼちゃを入れる:麺は束のまま入れず、軽くほぐしながら散らすように加えます。打ち粉は落とさずにそのまま。大きく切ったかぼちゃ、白菜の芯、しいたけもここで入れます。
- ときどき底から混ぜて煮込む:再び沸いたら、ふつふつと煮立つくらいの火加減で10〜15分ほど煮ます。とろみが出てくると鍋底に麺がくっついて焦げやすくなるので、ときどき底から大きく混ぜます。市販の生めんは、袋に書かれた煮込み時間に合わせてください。
- 残りの味噌で味を決める:麺を1本食べて芯がなくなっていたら、白菜の葉と長ねぎを加え、残りの味噌を少しずつ溶き入れて味をととのえます。仕上げの味噌を入れたあとはぐらぐら煮立てず、ひと煮立ちしたら火を止めると、味噌の香りが残ります。
煮込むうちに汁が煮詰まり、味は少しずつ濃くなっていきます。仕上げの味噌は一度に全部入れず、味をみながら足すと失敗しません。
うまくいかないときの直し方
- とろみが強すぎて重い:だしか湯を少しずつ足してのばし、味噌を少し足して味を戻す。次からは、麺の打ち粉を軽くはたいてから入れる
- とろみがつかない:くずす用のかぼちゃを、お玉の背で鍋の中で軽くつぶす
- 麺がかたまりでくっついた:入れた直後に菜箸でほぐす。汁がしっかり沸いてから、少しずつ入れるとくっつきにくい
- かぼちゃが全部溶けてしまった:大きめのかぼちゃを入れるのが早すぎたか、煮込みが長すぎたことが多い。次は麺と同時に入れる
よくある質問

うどんで代用できますか?
作れますが、仕上がりは少し変わります。生うどんを下ゆでせずに入れると、麺の塩が汁に溶け出すので、味噌は控えめに入れて味をみながら足してください。ゆでうどんや冷凍うどんは打ち粉がないぶんとろみがつきにくく、長く煮るとやわらかくなりすぎます。麺は最後に入れて温める程度にし、とろみはかぼちゃを多めに煮くずして補います。
味噌は何を使えばいいですか?
ふだん使っている味噌で作れます。山梨には、米こうじと麦こうじを合わせて仕込む「甲州味噌」があり、ほうとうにも使われています。近い風味にしたいなら、米味噌と麦味噌を合わせて使うのもひとつの方法です。味噌は種類によって塩気がかなり違うので、材料表の分量は目安と考え、半量ずつ入れて調整してください。
残ったほうとうは翌日も食べられますか?
食べられますが、麺が汁を吸ってふくらみ、全体がどろっとします。だしか水を足し、ときどき混ぜながら全体がしっかり沸くまで温め直して、味噌を少し足して味を戻します。大鍋の煮込み料理は、常温に置いたままにすると菌が増えやすくなります。粗熱が取れたら浅い容器に小分けして冷蔵庫に入れ、翌日中を目安に食べきってください。
冷凍保存はできますか?
麺を入れたあとの冷凍はおすすめしません。解凍すると麺がぼそぼそになったり切れたりしやすく、かぼちゃも水っぽくなります。多めに作るなら、麺を入れる前の汁と具(手順3まで)を取り分けて冷凍し、食べるときに温めてから生めんを入れて煮込むと、作りたてに近い状態で食べられます。じゃがいもや里芋は冷凍すると食感が変わりやすいので、取り分ける分には入れないほうが無難です。
まとめ

ほうとうをおいしく作るポイントは、次の4つです。
- 生めんは下ゆでせず、打ち粉がついたまま汁に入れる
- かぼちゃは皮つきのまま「くずす用」と「残す用」の2つの大きさに切る
- 味噌は麺を入れる前に半量、仕上げに残りを入れて味を決める
- とろみが出てきたら、ときどき鍋底から混ぜて焦げつきを防ぐ
根菜やきのこを増やせば、ひと鍋で主食とおかずを兼ねられます。ほかの土地の煮込み料理を知りたいなら「芋煮の作り方と醤油味・味噌味の違い|山形内陸は牛肉、庄内と宮城は豚肉。4人分の分量と入れる順番」も、小麦粉の生地を汁で煮る料理なら「小麦粉で作るもちもちすいとんの作り方|耳たぶの固さにこねて寝かせるのがコツ」も参考になります。
まずは市販の生めんとかぼちゃ1/4個を用意して、麺を打ち粉ごと鍋に入れるところから試してみてください。

