カキフライは、170〜180℃の油で3分前後、衣がきつね色になって浮いてくるまで揚げるのが目安です。揚げている途中に油がバチバチとはねるのは、かきの水分が衣のすき間から油に飛び出すためです。洗ったあとに水気をしっかり拭き取り、粉をひだの間まで行き渡らせて衣のすき間をなくせば、はねはかなり抑えられます。この記事では、温度計がなくても分かる油の温度の見分け方、揚がったサイン、はねにくい下ごしらえと衣のつけ方、揚げるときの火の元の注意まで、順に紹介します。
カキフライの揚げ時間と温度の目安
家庭でカキフライを揚げるときは、油を170〜180℃に温め、3分前後を目安にします。三重県伊勢保健所が紹介しているカキフライのレシピでも、油の温度は170℃、揚げ時間は約3分です。かきは粒の大きさで火の通り方が変わるので、揚がり具合を見ながら調整します。
| 揚げるもの | 油の温度 | 時間の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| ふつうの大きさのむき身 | 170〜180℃ | 3分前後 | 途中で一度返す |
| 大粒のむき身 | 170℃前後 | 3分より少し長め | 高い温度だと衣だけ先に焦げやすい |
| 市販の冷凍カキフライ | 袋の表示どおり | 袋の表示どおり | 凍ったまま揚げるかどうかも表示を見る |
温度計がないときの見分け方
温度計がなくても、次の2つでおおよそ見分けられます。慣れないうちは両方で確かめると安心です。
- 乾いた菜箸を入れる:箸の先を鍋の底につけて、箸全体から細かい泡がすぐにシュワシュワと上がってくれば170〜180℃くらい。泡がぽつぽつとしか出ないなら、まだ低い
- パン粉を少し落とす:途中まで沈んですぐ浮いてくれば170℃前後、沈まずに表面でぱっと散れば180℃前後。底まで沈んでなかなか浮かないときは低すぎる
揚がったかどうかは「色・浮き・泡」で見る
- 衣が全体にこんがりとしたきつね色になっている
- 入れた直後は沈んでいたかきが、油の表面に浮いてくる
- はじめは大きくはじけていた泡が小さく細かくなり、音も静かになる
泡が細かくなるのは、かきから出る蒸気が減ってきたサインです。3つがそろったら網じゃくしですくい、網の上に重ねずに並べて油を切ります。重ねると、下になった衣が蒸気でしんなりします。
中まで火を通すことが前提
かきは、ノロウイルスによる食中毒の原因になることがある食材です。厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」では、ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などは、中心部が85〜90℃で90秒以上の加熱が望ましいとされています。子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い人が食べるときは、とくに中心部までしっかり加熱してください。
ただ、外から見ただけでは中の温度は分かりません。大粒のものや初めての量を揚げるときは、1個割って、中まで熱いか、とろりとした生の状態が残っていないかを確かめると安心です。料理用の中心温度計があれば、いちばん大きな粒で測るのが確実です。

油がはねるのを防ぐ下ごしらえと衣のつけ方
カキフライが揚げ物の中でもとくにはねやすいのは、かきの身が水分を多く含んでいるからです。熱い油に水が触れると一気に蒸気になり、油ごと飛び散ります。かきは加熱されると身が縮んで水分を押し出すので、衣にすき間があると、そこから水分が油に出てしまいます。揚げる前にやることは、水気を残さないことと、衣ですき間なく包むことの2つです。
洗ったら水気をしっかり拭き取る
むき身のかきは、ひだの間に細かい殻のかけらや汚れが残っていることがあります。ボウルにかきを入れて片栗粉をまぶし、やさしく混ぜてから水で洗うと、汚れが粉と一緒に落ちます。三重県伊勢保健所のレシピでも、片栗粉をまぶして水で洗い、水気をよく拭き取る手順になっています。薄い塩水の中でふり洗いする方法でもかまいません。
洗ったら、ざるにあげて水を切り、キッチンペーパーを敷いたバットに並べて、上からもう1枚のペーパーで押さえるように水気を取ります。ひだの間は水がたまりやすいので念入りに。こすると身が破れるので、押さえるだけにします。生のかきに触れたまな板や包丁は、洗ったあと熱湯で消毒します(同じQ&Aでは85℃以上の熱湯で1分以上の加熱が有効とされています)。手もせっけんでよく洗います。
塩こしょうは衣をつける直前に
下味の塩をふってから長く置くと、かきから水分が出てきます。塩こしょうは衣をつける直前にふり、出てきた水分があればもう一度ペーパーで押さえてから粉をつけます。
粉はひだの間まで、余分ははたく
衣は、薄力粉、溶き卵、パン粉の順につけます。はねを防ぐうえでいちばん効くのは、最初の薄力粉です。粉が表面の水気を吸ってかきをおおい、卵とパン粉がつく土台になります。粉のついていない部分があると、そこだけ卵がはがれて衣に穴があき、揚げている途中に水分が出てきます。
- 薄力粉は、ひだの間にも行き渡るように全体にまんべんなくまぶす
- 余分な粉は手で軽くはたいて落とす。厚くつきすぎると卵と混ざってだまになり、衣がはがれやすくなる
- 溶き卵にくぐらせたら、パン粉の上で全体を包むようにまぶし、手のひらで軽く押さえてなじませる
粉と卵を合わせた「バッター液」を使う方法も
薄力粉と溶き卵、水を混ぜたとろりとした液(バッター液)にくぐらせてから、パン粉をつける方法もあります。一度ですき間なく包めるので、粉のつけ残しが出にくく、衣の厚さもそろいます。固さは、スプーンですくうとゆっくり流れ落ちるくらいが目安です。
衣をつけたら少し置いてなじませる
衣をつけたら、バットに並べて冷蔵庫で5〜10分ほど置きます。パン粉が卵の水分を吸って衣が落ち着き、揚げている途中ではがれにくくなります。長く置きすぎるとかきから水分が出てくるので、なじんだら早めに揚げます。

揚げるときの油はね対策と火の元の注意
油面の近くから、静かにすべらせて入れる
高いところから落とすと、油が大きくはねます。かきは菜箸か指先で持ち、油の表面に近いところから、鍋の手前から向こう側へすべらせるように入れます。こうすると、はねた油が自分のほうへ飛んできにくくなります。
一度にたくさん入れない
かきを一度に多く入れると油の温度が下がり、衣が固まる前にかきの水分が出てきます。衣がべたついて油っぽく仕上がるうえ、はねの原因にもなります。鍋に入れるのは油の表面が半分ほど見えている程度までにして、何回かに分けて揚げます。
揚げすぎない
火が通ったあとも揚げ続けると、身が縮んで水分が押し出され、衣が破れてはねやすくなります。身も固くなるので、「色・浮き・泡」がそろったら引き上げます。ただし、生焼けにしないことが先です。迷ったら1個割って確かめます。
道具と服装で身を守る
- 深めの鍋を使う:浅いフライパンより、深さのある鍋のほうが、はねた油が外へ飛びにくい。油を鍋いっぱいに入れない
- 油はねガードを使う:鍋の上にかざす網状のガードや、コンロのまわりに立てるガードがあると、コンロまわりの汚れも減る
- 鍋にふたをして揚げない:ふたの内側にたまった水滴が油に落ちると、かえって大きくはねる
- 乾いた道具を使う:濡れた菜箸や網じゃくしを油に入れると、ついていた水ではねる
- 長袖を着る:腕を出していると、小さなはねでもやけどになる。袖口の広い服は火に近づきやすいので、袖口の締まった服にする
揚げている間はその場を離れない
揚げ油は、火にかけたまま放っておくと温度が上がり続け、やがて火が出ます。電話や来客でコンロを離れるときは、短い時間でも必ず火を止めます。万一、鍋から火が出たら、水は絶対にかけないでください。油が飛び散って、火が一気に広がります。火を消すには消火器が確実なので、キッチンの近くに置いておきましょう。

よくある質問
Q. 生食用のかきでカキフライを作ってもいい?
作れます。生食用と加熱用の違いは、鮮度ではありません。生食用のかきには成分の規格が定められていて、採れた海域ごとに管理されています。海域によっては、決められた方法で浄化してから生食用として出荷されるものもあります。加熱用は、生で食べることを前提にしていないかきなので、絶対に生では食べないでください。火を通すカキフライなら、どちらを使ってもかまいません。どちらの場合も、中までしっかり揚げてください。
Q. 市販の冷凍カキフライは解凍してから揚げる?
袋に書かれた揚げ方に従ってください。凍ったまま揚げるか、何℃で何分揚げるかは、商品ごとに決められています。表面に霜がついているときは、払ってから入れると油がはねにくくなります。凍ったものは油の温度を大きく下げるので、一度に入れる数を少なめにします。
Q. 少ない油の揚げ焼きでもできる?
できます。フライパンに1cmほど油を入れて170〜180℃に温め、かきを並べます。片面がきつね色になったら返し、もう片面も同じように揚げます。上半分が油から出ているので、両面ともしっかり色づくまで揚げてください。返すときは油がはねやすいので、フライ返しで静かに返します。油が少ないと温度が上下しやすいので、火加減はこまめに見ます。
Q. 時間がたってしんなりしたカキフライを温め直すには?
オーブントースターが向いています。アルミホイルを敷いた天板に重ならないように並べ、衣がカリッとするまで数分温めます。焦げそうなら上からホイルをかぶせます。電子レンジだけだと、中の水分で衣がしんなりしがちです。残ったものは冷ましてから冷蔵庫に入れ、早めに食べ切ってください。

まとめ
カキフライの揚げ時間と温度は、170〜180℃の油で3分前後が目安です。衣がきつね色になり、浮いてきて泡が細かくなったら引き上げます。油はねは揚げる前のひと手間で大きく減らせます。
- 洗ったあとはペーパーで押さえ、ひだの間まで水気を取る
- 塩こしょうは衣をつける直前にふる
- 薄力粉はすき間なくまぶし、余分ははたく
- 衣をつけたら少し置いてなじませる
- 油面の近くから静かに入れ、一度にたくさん入れない
- 中心部までしっかり火を通し、揚げている間はコンロから離れない
次にカキフライを作るときは、まず洗ったかきの水気をペーパーでしっかり押さえるところから試してみてください。


