浴室乾燥で洗濯物が乾かないとき、本体の故障より先に疑いたいのは、浴室に残った水気と干し方です。濡れた床や壁、ふたを開けたままの浴槽があると、温風はまず浴室の湿気を飛ばすのに使われます。すぐに試せるのは、運転前に床と壁の水滴を拭き取ることです。洗濯物どうしの間隔が狭い、一度に干す量が多いといった干し方でも、乾くまでの時間は大きく延びます。この記事では、メーカーの取扱説明書をもとに、運転前の浴室の準備、温風が通る干し方、時間がかかるときに確かめたいタイマーとフィルター、故障を疑う目安の順に紹介します。
浴室乾燥で洗濯物が乾かないときは、まず浴室の準備を見直す
浴室乾燥は、浴室の空気を温めて回しながら、湿った空気を外へ出して洗濯物を乾かします。床や壁に水滴が残っていたり、浴槽から湯気が上がっていたりすると、その水分まで一緒に乾かすことになり、洗濯物がなかなか乾きません。
三菱電機の取扱説明書(バス乾燥・暖房・換気システム 壁掛タイプ V-241BK5-RN)でも、衣類乾燥のコツの最初に浴室の準備を挙げています。運転前にひと通り確かめてみてください。
床と壁の水滴を拭き取る
入浴のあとに洗濯物を干す家庭では、とくに見落としやすいところです。水切りワイパーで壁と床の水を落とし、残りを雑巾やタオルで拭き取ります。拭く時間がとれないときは、先に送風だけの「風乾燥」などで浴室を乾かしてから洗濯物を入れる方法もあります。どんな運転ができるかは機種によって違うので、取扱説明書で確かめてください。
浴槽はふたをするか、お湯を抜く
残り湯を洗濯に使う場合も、ふたを開けたままだと湯気が出続けます。ふたをきっちり閉めるか、使わないならお湯を抜いておきます。ふたが何枚かに分かれるタイプは、すき間ができないように並べます。
窓とドアは閉め、給気口は開けておく
「閉め切ったほうが早く乾く」と思いがちですが、浴室乾燥は、湿った空気を外へ出すぶんの空気をドアの給気口から取り込みながら運転します。この取扱説明書では、浴室の窓とドアは閉め、ドアの下などにある給気用の通気口(ガラリ)は開けておくよう案内しています。ガラリのないドアは少し開けておきます。脱衣所側でバスマットや洗濯かごがガラリをふさいでいないかも見ておきましょう。
寒い日は浴室を暖めてから
冬は浴室の壁や床が冷えていて、運転を始めてもしばらくは浴室を温めるのに時間をとられます。暖房運転がある機種なら、先に浴室を暖めてから乾燥運転に切り替えるよう、取扱説明書でも勧めています。

温風が通る干し方:量・間隔・並べ方
浴室の準備ができたら、次は干し方です。浴室乾燥は温風を浴室の中で回して乾かすので、洗濯物どうしが重なって風が通らない場所ほど乾くのが遅れます。
一度に干す量を詰め込みすぎない
一度に乾かせる量には限りがあります。同じ取扱説明書では、一度に干す量の目安を3kg以下としています。目安の量は機種によって違うので、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください。洗濯物が多くて物干しバーがぎっしり埋まる日は、厚手の物の一部を別の部屋で干すなど、浴室に入れる量を減らしたほうが早く乾きます。
洗濯物の間隔は約10cmあける
取扱説明書では、温風が通るよう衣類のすき間を十分にとり、その目安を約10cmとしています。ハンガーを物干しバーに掛けるときは、肩と肩が触れ合わないように間をあけます。丈の長い物と短い物を交互に並べると、すそ同士も重なりにくくなります。ハンガーが多いとつい詰めたくなりますが、詰めて全部が生乾きになるより、間隔をあけて2回に分けたほうが、結局早く終わることもあります。
厚手の物は温風の当たる場所へ、長い物は途中で向きを変える
バスタオルやパーカー、ジーンズのように厚手で乾きにくい物は、温風がよく当たる位置に干します。風向きを変えられる機種なら、乾きにくい物のほうへ風を向けるのも手です。丈の長い物や厚手の物を折り返して掛けたときは、しばらくしたら向きを変えると、重なっていた部分も乾きます。
| 洗濯物 | 干し方のコツ |
|---|---|
| シャツ・ブラウス | しわを伸ばし、幅の広いハンガーでわきの下を広げる |
| バスタオル | 温風の当たる位置に。前後の長さをずらして掛け、重なりを減らす |
| パーカー・トレーナー | フードや袖の重なりを広げ、温風の当たる位置に |
| ジーンズなど厚手のズボン | 温風の当たる位置に。折り返して掛けたら、途中で向きを変える |
| 靴下・下着などの小物 | ピンチハンガーで、長い物と短い物を交互に吊るす |
脱水はしっかり、洗濯表示も確かめる
干す前の準備も乾く時間に響きます。取扱説明書でも、洗濯物を十分に脱水することをコツの一つに挙げています。脱水が短いと、そのぶん浴室で飛ばす水分が増えます。一方で、熱に弱く、変色や傷み、縮みが起きやすい衣類には温風を当てないよう注意書きがあります。洗濯表示を確かめ、温風を避けたい物は別の場所で干しましょう。

時間がかかるときは、タイマーとフィルターを確かめる
準備と干し方を見直しても時間がかかるときは、運転の設定と本体の手入れを確かめます。
乾く時間は条件で大きく変わる
メーカーは取扱説明書に乾燥時間の目安を載せていますが、これは決められた条件で測った値です。三菱電機の取扱説明書では、次のような場合に時間が長くなると説明しています。
- 洗濯物の脱水時間が短い
- 厚手の衣類が多い、量が多い
- 浴室の壁がコンクリートだったり、浴室が広かったりする
- 浴室に窓がある
- 外気や浴室内の温度が低い
- 外の湿度が高い
冬や梅雨どきに「いつもより乾かない」と感じるのは、このうちいくつかが重なりやすいからです。故障と決めつける前に、季節や洗濯物の量が普段と違わないかを振り返ってみましょう。
タイマーの時間で止まっていないか
運転時間を決めて動かす機種では、設定した時間がたつと、乾いていなくても止まります。取り上げている三菱電機の機種では、乾燥運転の初期設定は3時間です。量が多い日や厚手の物が多い日は、初期設定のままでは足りないことがあります。
おすすめは、いったん初期設定のまま回し、終わったら乾き具合を確かめるやり方です。乾いた薄手の物を取り込み、湿っている物を温風の当たる位置へ移してから、必要な分だけ延長します。乾いた物を先に外すと、残りの物に温風が回りやすくなります。なお、湿度を見て自動で止まる運転を備えた機種もあります。
フィルターのほこりで風が弱くなる
本体の吸い込み口にあるフィルターにほこりがたまると、風量が落ち、温風が出にくくなります。同じ取扱説明書の「故障かな?と思ったら」でも、温風が出ない、風量が少ないといった症状の原因にフィルターのほこりを挙げています。
掃除の目安は機種によって違います。この機種では6か月に1回程度とされ、運転時間をもとにランプで知らせてくれます。ただし汚れがひどい場合はこまめに掃除するよう書かれているので、ランプがつく前でも風が弱いと感じたら確かめてみましょう。手順は取扱説明書に従うのが前提ですが、おおまかには次の流れです。
- 運転を止め、本体が冷えるのを待つ(乾燥運転中と停止後約30分は吹き出し口が熱いので近づかない)
- 取扱説明書の指示どおりに電源を切る(分電盤のブレーカーを切るよう指示している機種もある)
- 浴槽の縁やふたには乗らず、すべりにくい脚立を使う
- パネルを開けてフィルターを外し、掃除機でほこりを吸い取る
- 汚れがひどく水洗いしたときは、よく乾かしてから元に戻す
取扱説明書では、水洗いしたフィルターをドライヤーの温風で乾かさないよう注意しています(変形の原因)。市販のフィルターを付け足したり、フィルターを外したまま運転したりすることも、内部の温度が上がったり、ほこりがたまったりして発煙の原因になるとして禁止しています。

よくある質問
Q. 洗濯物は何時間くらいで乾きますか?
A. 機種と条件で大きく違うため、一律には言えません。目安は取扱説明書の「衣類乾燥時間のめやす」などの項目で確かめられます。測ったときの条件(洗濯物の量、浴室の広さ、外の気温など)も書かれているので、自宅の条件と比べると見当がつきます。
Q. 電気代を抑える方法はありますか?
A. 乾燥運転の電気代の大部分は、温風をつくるヒーターの分です。本文で取り上げた三菱電機の機種の仕様表では、乾燥運転(強)の消費電力が約2,200Wなのに対し、ヒーターを使わない風乾燥運転(強)は50W以下です。ただし風乾燥は浴室を乾かすための運転で、衣類には温風の乾燥運転を使うよう案内されています。電気代はおおよそ「消費電力(kW)×運転時間×契約している電気の単価」で計算できます。自宅の機種の消費電力は仕様表で確かめてください。水滴を拭く、間隔をあけて干す、乾いた物から取り込むといった工夫で運転時間が短くなれば、そのぶん節約になります。
Q. フィルターを掃除しても温風が弱いのは故障ですか?
A. フィルターを掃除し、浴室の準備と干し方も見直したのに温風が出ない、風が弱いままという場合は、点検を頼む目安です。運転中に異常な音やにおいがする、本体のランプが点滅しているといったときも使うのをやめ、取扱説明書の指示どおりに電源を切ってから、購入した販売店や設置した業者、メーカーの窓口に相談します。ランプの点き方で不具合を知らせる機種もあるので、連絡するときは型番と一緒にランプの様子を伝えると話が早く進みます。

まとめ
浴室乾燥で洗濯物が乾かないときは、まず浴室に残った水気と、詰め込みすぎた干し方を疑います。見直す順番をまとめると次のとおりです。
- 運転前に床と壁の水滴を拭き、浴槽はふたをするかお湯を抜く
- 窓とドアは閉め、給気口は開けておく。寒い日は浴室を暖めてから
- 量を詰め込みすぎず、洗濯物の間隔は約10cmあける
- 厚手の物は温風の当たる位置へ。乾いた物から取り込み、必要な分だけ延長する
- 風が弱いと感じたらフィルターを掃除し、それでも直らなければ点検を頼む
次に洗濯物を干すときは、運転ボタンを押す前に、浴室の床と壁の水滴を拭き取るところから始めてみてください。


