かりんのはちみつ漬けの作り方|硬い実の切り方と種の取り方、保存の目安。のどが気になる季節のお湯割りに

はちみつに沈めたかりんの薄切りの瓶と、かりんの実 料理・食材保存

かりんのはちみつ漬けは、種を除いて皮ごと薄く切ったかりんを、消毒した瓶に入れてはちみつに完全に沈め、冷蔵庫で1か月ほど漬けて作ります。かりんは硬く渋みが強いので生では食べられず、漬けた実も最後は取り出して、香りの移ったシロップをお湯で割って飲みます。昔からのど飴やかりん酒にも使われてきた果物ですが、薬ではありません。この記事では、硬い実を安全に切るこつ、種の扱い、保存の目安とカビ・発酵の見分け方、はちみつを1歳未満の乳児に与えてはいけない理由を順に説明します。

かりんはどんな果物?生では食べられない理由と選び方

かりん(花梨)はバラ科の果物で、10〜12月ごろに黄色く熟した実が出回ります。長さ10〜15cmほどの少しいびつな楕円形で、熟すと甘く強い香りを放ちます。

生では食べられない理由

香りに誘われてかじりたくなりますが、かりんは生では食べられません。果肉がとても硬く、渋みと酸味が強いうえ、繊維が口に残るためです。そのため、はちみつや砂糖、お酒に漬けて、香りと風味を移して楽しみます。はちみつ漬けでも実そのものは食べず、しみ出たシロップを使います。

「のどにいい」と言われてきたことについて

かりんの名前が付いたのど飴が売られていたり、かりん酒やはちみつ漬けが空気の乾く季節に飲まれてきたりと、かりんは昔からのどと結びつけて親しまれてきた果物です。ただし、のどの不調を治す薬ではなく、効き目がはっきり確かめられているわけでもありません。温かい飲み物でのどを潤し、ひと息つくためのもの、くらいに考えておくのがちょうどよいでしょう。

せきやのどの痛みが何日も続く、熱がある、息苦しいといったときは、はちみつ漬けで様子を見ずに医療機関を受診してください。

かりんの選び方

  • 皮全体が黄色く色づき、つやがあるもの
  • 鼻を近づけると、甘い香りがはっきりするもの
  • 傷や小さな穴、黒っぽく柔らかくなった部分がないもの

皮に黄緑色が残っているものは、まだ熟しきっていません。風通しのよい室内に置いておくと、黄色く色づいて香りも強くなってきます。熟すにつれて皮の表面がしっとりべたつくことがありますが、熟したかりんによく見られるもので、洗えば落ちます。べたつきと一緒に黒い斑点や柔らかい部分があるときは、その部分が傷み始めています。

かごに入った、黄色く熟したかりん

かりんのはちみつ漬けの作り方|硬い実の切り方と種の取り方

作業は、かりんを切って瓶に入れ、はちみつを注ぐだけです。手間がかかるのは硬い実を切るところと種を取るところで、ここを落ち着いて進めれば、あとは待つだけです。

用意するもの(かりん1個分)

  • かりん:1個
  • はちみつ:かりんが完全に浸かる量。切ったかりんはすき間ができるので、かりんと同じ重さでは足りないことが多く、1.5〜2倍ほど用意しておくと安心です
  • ふたつきのガラス瓶:容量1リットル前後で、煮沸かアルコールで消毒できるもの
  • 包丁、まな板、ぬれぶきん、清潔なスプーン

手順

  1. 瓶を消毒する:瓶とふたを洗剤で洗います。煮沸できるものは水から鍋に入れて火にかけ、沸騰したら数分煮て取り出し、口を下にして乾かします。煮沸できないものは、よく乾かしてから食品用のアルコールで内側を拭きます。
  2. かりんを洗って水気を拭く:皮ごと使うので、ぬるま湯をかけながらスポンジでこすり、表面のべたつきや汚れを落とします。洗ったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。水が残っていると、漬けたあとに傷みやすくなります。
  3. 縦に4つに切る:まず縦半分に切り、切り口を下にして置いてから、さらに縦半分に切ります。
  4. 種と芯、上下の端を取る:断面の中心に、種が縦に並んだ芯があります。芯の両側から斜めに包丁を入れてV字に切り取り、軸のある上の端と、お尻の端も切り落とします。
  5. 5mmほどの厚さに切る:皮はむかずに、端から5mm前後の厚さに切ります。薄いほうが香りが出やすくなります。切り口は時間がたつと茶色っぽくなるので、切ったものから瓶に入れていきます。
  6. はちみつを注いで沈める:瓶にかりんを入れてはちみつを注ぎ、清潔なスプーンで軽く押さえながら、かりんが完全に隠れるまで注ぎ足します。
  7. 冷蔵庫で漬ける:ふたを閉めて冷蔵庫に入れます。1日1回を目安に、ふたを閉めたまま瓶をゆっくり傾けて、全体にはちみつを行き渡らせます。
皮つきのまま5mmほどの厚さに切ったかりんと、取り除いた種

硬い実を切るときのこつ

かぼちゃを切るときと同じ要領で進めます。まな板の下にぬれぶきんを敷いて固定し、包丁は刃のつけ根に近いところを実に当て、もう片方の手をふきん越しに包丁の峰(背)にのせて、上から体重をかけてまっすぐ押し下げます。途中で刃が止まっても、こじったり左右にねじったりしないでください。刃が欠けたり、急に抜けて手を切ったりするもとです。いったん刃を抜き、少しずらした位置から入れ直します。

種は一緒に漬ける?

種は取り除き、果肉だけを漬ければ十分です。洗った種をお茶パックに入れて一緒に漬けるレシピもありますが、入れる場合も種は割ったり砕いたりせず、漬け終わったら実と一緒に取り出してください。種は食べるものではありません。

はちみつを使うので、1歳未満の乳児には与えない

かりんのはちみつ漬けは、1歳未満の乳児には与えないでください。はちみつにはボツリヌス菌が含まれていることがあり、1歳未満の赤ちゃんが口にすると、腸の中で菌が増えて乳児ボツリヌス症を起こすおそれがあります。厚生労働省も、ボツリヌス菌は熱に強く、通常の加熱や調理では死なないとして、はちみつは1歳を過ぎてから与えるよう呼びかけています。お湯で割っても同じです。

漬けたあとの飲み方と保存、カビ・発酵の見分け方

飲みはじめは1〜2週間後から、実は1か月ほどで取り出す

漬けて数日たつと、かりんから水分が出て、はちみつがさらっとしてきます。早ければ1〜2週間ほどで香りが移り、飲みはじめられます。1か月ほどたったら、清潔なスプーンや網じゃくしで実を取り出し、シロップだけを瓶に戻して冷蔵庫で保存します。実を長く入れたままにすると、濁ったり傷んだりしやすくなるためです。取り出した実は硬いままで食べるのには向かないので、処分します。

飲み方

カップにシロップを大さじ1〜2杯入れ、お湯を150〜200mlほど注いで混ぜます。甘さはシロップの量で加減してください。しょうがの薄切りを入れたり、炭酸水で割ったりしても合います。はちみつが主なので糖分は多めです。甘い飲み物を控えるよう言われている人は、量に気をつけてください。

保存のしかたと日持ちの目安

  • 冷蔵庫で保存する:かりんから出た水分ではちみつが薄まり、常温では発酵しやすくなります。市販のはちみつと同じ感覚で棚に置かないようにします。
  • 実をはちみつから出さない:かりんは軽く、はちみつの表面に浮いてきます。空気に触れた部分からカビが生えやすいので、漬けている間は瓶を傾けて全体をはちみつでぬらし、浮いた実は清潔なスプーンで沈めます。
  • すくうスプーンは乾いたものを使う:口をつけたスプーンや、お湯でぬれたスプーンを瓶に入れないようにします。

実を取り出したシロップは、冷蔵庫で2〜3か月ほどを目安に飲み切ると安心です。はちみつの量やかりんから出た水分、瓶の扱い方で日持ちは変わるので、日数はあくまで目安にとどめ、使うたびに見た目とにおいを確かめてください。

実を取り出して小さな瓶に移したかりんのシロップと、乾いたスプーン

カビ・発酵の見分け方

次のような様子があれば、カビや発酵が進んでいるサインです。カビた部分だけを取り除いて使うのはやめ、中身はすべて処分してください。

  • 表面や浮いた実に、白・青・緑・黒などのふわふわしたものが付いている。表面に白い膜が張っている
  • 漬けてしばらくたってから、細かい泡が次々に上がってくる、表面に泡がたまる
  • ふたを開けるとプシュッとガスが抜ける、ふたが膨らんでいる
  • お酒のようなにおいや、つんとした酸っぱいにおいがする

はちみつを注いだ直後に見える泡は、注ぐときに入った空気です。また、冷蔵庫で冷えて瓶の底や縁に白くざらざらしたものが出てきたときは、はちみつの成分が結晶になったものであることが多く、カビと違ってふわふわしていません。においにも異常がなければ、清潔なスプーンで混ぜて使ってかまいません。

よくある質問

漬けたかりんの実は食べられますか?

はちみつに漬けても、かりんの実は硬いままで、渋みも残ります。食べるのには向かないので、シロップをとるために漬けるものと考えてください。漬け終わったら、種と一緒に取り出して処分します。

青っぽいかりんでも漬けられますか?

黄緑色が残るかりんは熟しきっておらず、香りも弱めです。風通しのよい室内に置き、皮が黄色くなって甘い香りがしてから漬けると、香りのよいシロップになります。

皮に黄緑色が残るかりん(左)と、黄色く熟したかりん(右)

はちみつの代わりに砂糖で作れますか?

氷砂糖や砂糖で漬けて、かりんシロップにする作り方もあります。はちみつのコクやとろみがないぶん、すっきりした甘さになります。砂糖は溶けるまで時間がかかるので、溶けきるまでは1日1回、ふたを閉めたまま瓶をゆすって混ぜます。

ゆず茶と同じように作れますか?

瓶に詰めて甘味で漬けるところは似ていますが、食べ方が違います。ゆず茶は刻んだ皮も実も一緒に食べますが、かりんは実を食べず、香りの移ったシロップだけを飲みます。かりんは香りが出やすいよう薄く切り、1か月ほどで実を取り出します。

まとめ|種を除いて薄く切り、はちみつに沈めて冷蔵庫で漬ける

  • かりんは硬く渋いので、生では食べない。黄色く色づき、香りの強いものを選ぶ
  • まな板を固定して縦に4つに切り、種と芯をV字に切り取る
  • 皮つきのまま5mmほどに切り、消毒した瓶に入れて、はちみつに完全に沈める
  • 冷蔵庫で漬け、1か月ほどで実を取り出してシロップだけにする
  • カビ・白い膜・続く泡・お酒のようなにおいが出たら、中身はすべて処分する
  • のどの薬ではないので、症状が続くときは医療機関へ。はちみつで作ったものは1歳未満の乳児に与えない
かりんのシロップをお湯で割った、温かい飲み物

まずは黄色く熟したかりんを1個と、1リットル前後のガラス瓶を用意して、試しに1瓶漬けてみてください。

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