包丁が切れないときの研ぎ方|初心者は中砥石1つで十分。角度の目安とシャープナーの使い分け

包丁が切れないときの研ぎ方のイメージ画像 トラブル解決

トマトの皮に刃が入らず、つぶれるように切れる。そんな包丁は、刃先が丸まっているだけのことがほとんどです。家庭のステンレス包丁なら、中くらいの粗さの砥石が1つあれば切れ味は戻ります。コツは、刃を砥石から10〜15度ほど浮かせた角度を保つことと、刃の裏に小さな「カエリ」が出るまで研ぐことの2つだけです。この記事では、研ぐ前の見分け方から、けがをしない構え方、シャープナーとの使い分け、研いではいけない包丁まで、刃物メーカーの案内に沿って順に説明します。

切れ味が落ちた包丁の見分け方と、研ぐ前に確かめること

切れ味を確かめるには、熟したトマトを薄く切ってみるのがいちばん分かりやすい方法です。刃を軽く引くだけで皮にすっと入れば問題ありません。皮の上で刃がすべる、押しつぶすように力を入れないと切れない、切り口から汁が多く出る、といったときは研ぎどきです。玉ねぎを切って目がしみやすくなった、鶏肉の皮が切れずに伸びる、というのも同じ合図です。

木のまな板の上で薄く輪切りにしたトマトと、横に置いた三徳包丁

研ぐ前に、包丁の材質と刃の形を確かめます。研ぎ方も、使える道具も変わるからです。

  • ステンレスの両刃(三徳・牛刀など):家庭でいちばん多い包丁です。砥石でもシャープナーでも研げます
  • 鋼(はがね)の包丁:砥石で研ぎます。ツヴィリングの解説では、シャープナーはステンレスの両刃向けで、鋼の包丁には使わないよう案内しています
  • 片刃(出刃・柳刃など):表と裏で研ぎ方が違います。裏面を研ぎすぎると形が崩れるので、最初の練習には向きません
  • セラミック包丁:金属用の砥石では研げません(あとで説明します)
  • 波刃(パン切り包丁など):藤次郎のお手入れ案内では、研ぎ直しができないとされています

あわせて、切れ味を落とす使い方をしていないかも振り返ります。ガラスや陶器のまな板、冷凍食品や骨は、刃先を傷めたり欠けさせたりする原因になります。研いでもすぐ切れなくなるときは、まな板を木や樹脂のものに替えるだけで持ちが変わります。

初心者がそろえる道具は中砥石1つから。シャープナーと研ぎ直しの使い分け

砥石は粗さ(番手)で役割が分かれます。数字が小さいほど粗く、たくさん削れます。

種類 役割 初心者に必要か
荒砥石(#400前後など) 小さな刃こぼれを削って直す 欠けがなければ不要
中砥石(#1000前後が多い) 丸まった刃先を立て直し、切れ味を戻す まずはこれ1つ
仕上げ砥石(#3000以上など) 中砥石のあと、刃先をなめらかに整える 慣れてからで十分

貝印のコンビ砥石のように、#400の荒砥と#1000の中砥が表裏になった商品もあります。家庭用ならこうした組み合わせか、中砥石1本から始めれば足ります。砥石には使う前に水に浸すタイプと、水をかけるだけで使えるタイプがあるので、買ったときに説明書を確かめてください。

水を張った浅い容器に沈めて、吸水させている砥石

シャープナーは、溝に刃を通して引くだけで角度が決まるので、砥石より手軽です。ただしツヴィリングは、新品や切れ味が落ちていない包丁に使うと、かえって切れなくなるおそれがあると注意しています。使うのは切れ味が落ちたときだけにして、引く回数や向きは製品の説明書どおりにします。

セラミック包丁は扱いが別です。京セラは、金属用の砥石で研ぐと刃を傷めるとして、京セラ製のセラミックナイフには同社の電動ダイヤモンドシャープナーを使うよう案内しています。0.5mmほどの小さな欠けならシャープナーで手入れでき、切れ味が戻らないときは京セラの研ぎ直しサービス(1本1,000円・税込、到着から約10〜14日で返却)が使えます。先端が10mm以上、または刃の部分が3mm以上欠けたり折れたりしたものは、研ぎ直せない場合があります。

金属の包丁でも、目で見て分かるほど大きく欠けたものは、無理に自分で直さないほうが安全です。包丁メーカーの研ぎ直しや修理(藤次郎や京セラのように、自社製品に限って受け付けるところがあります)か、近くの刃物店に相談しましょう。

砥石で研ぐ手順と、けがを防ぐ構え方

ここでは、ステンレスの両刃包丁を中砥石で研ぐ流れを説明します。初めてなら、家の包丁のうち一番安いものか、使い込んだもので練習すると気が楽です。

準備:砥石を水に浸して、動かないように据える

  1. 浸すタイプの砥石は、水に沈めて泡が出なくなるまで待ちます。藤次郎の案内では約5分が目安です
  2. 調理台やシンクの上に、固く絞った布巾か滑り止めのゴムを敷き、その上に砥石を置きます。台座付きの砥石なら台座ごと据えます
  3. 砥石を指で押して、ずれたり傾いたりしないかを確かめます。台の端から出さず、平らな場所に置いてください
  4. 小さな器に水を用意し、研いでいる途中で砥石の表面が乾いてきたら少しずつかけます
固く絞った布巾を敷いて、調理台の上に置いた砥石と水を入れた小さな器

研ぐ:角度を保って、カエリが出るまで

  1. 利き手で柄を握り、人差し指を峰(刃の背)にのせます。刃を自分のほうに向け、砥石に対して包丁を45度ほど斜めに置きます
  2. 刃を砥石から10〜15度ほど浮かせます。藤次郎は峰と砥石のすき間が7〜10mm程度、ツヴィリングは10円玉2〜3枚分を目安にしています
  3. 反対の手の指2〜3本を、研ぐ部分の刃の平らな面にそっと添えます。指先は刃先より外に出さないでください
  4. 押すときに軽く力を入れ、引くときは力を抜いて往復させます。刃元、中ほど、切っ先と少しずつ場所を移し、添えた指も一緒に移します
  5. 刃の裏側に、髪の毛1本分ほどの引っかかり(カエリ)が刃全体に出たら、その面は終わりです
  6. 包丁を返し、同じ角度で裏面を研ぎます。表と裏をそろえることで、刃がまっすぐ食材に入ります
  7. 最後に、たたんだ新聞紙や布に、研いだときと同じ角度で刃先を当て、力を入れずに峰の方向へ数回すべらせてカエリを落とします

けがを防ぐために守ること

  • カエリを確かめるときは、峰の側から刃先に向かって指の腹でそっとなでます。刃先に沿って指を横にすべらせないでください
  • 研いでいる途中で呼ばれたら、包丁を砥石から下ろし、刃を奥に向けて置いてから振り向きます
  • 小さな子どもやペットが近くにいるときは研がない。研ぎ汁で手がすべるので、柄はこまめに拭きます
  • 研ぎ終えたら台所用洗剤で洗って研ぎ汁を落とし、水気を拭き取ります。研いだ直後は思った以上に切れるので、最初の数回は慎重に使いましょう

砥石は使ううちに中央がへこんでくるので、ときどき面直し用の砥石で平らに戻します。乾かすときは日の当たらない風通しのよい場所に置きます。

よくある質問

どのくらいの頻度で研げばいいですか

藤次郎の案内では、月1〜2回が目安とされています。毎日料理をする家なら、トマトの皮に刃が入りにくくなったと感じたときを合図にすると、研ぎすぎも防げます。

シャープナーだけで済ませてもいいですか

ステンレスの両刃包丁なら、日々の手入れはシャープナーでもかまいません。ただ、使うのは切れ味が落ちたときだけにし、シャープナーで戻りにくくなったら砥石で刃全体を整えましょう。鋼や片刃の包丁は砥石で研ぎます。

調理台に置いた手動のロールシャープナーと三徳包丁

研いだのに切れ味が戻りません

よくある原因は、角度が途中で変わって刃先が丸くなっていることと、カエリが出る前にやめていることです。刃全体にカエリが出るまで続け、裏面も同じ角度で研いでください。それでも戻らなければ、砥石の表面がへこんでいないかを確かめます。

包丁が欠けてしまったときは

小さな欠けは荒砥石で直せますが、欠けた部分がなくなるまで刃全体を削るので、時間も手間もかかります。目で見て分かる大きな欠けや、先端が折れたものは、メーカーの研ぎ直しや刃物店に任せましょう。セラミック包丁は、自分で直そうとせず京セラなどメーカーの案内に従います。

まとめ

包丁が切れないときの研ぎ方は、難しい技よりも順番が大切です。切れ味が落ちたと感じたら、まずトマトで確かめ、包丁の材質と刃の形を見てから道具を選びます。ステンレスの両刃包丁なら、中砥石1つで十分です。

研いだ包丁で薄く切ったきゅうりと、乾いた布巾の上に置いた包丁
  • 砥石は濡れ布巾や台座の上で動かないように据え、浸すタイプは泡が出なくなるまで吸水させる
  • 包丁は砥石に45度ほど斜めに置き、刃を10〜15度浮かせて、カエリが刃全体に出るまで研ぐ
  • 添える指は刃先から出さず、カエリは峰側から刃先へ向かってなでて確かめる
  • シャープナーは切れ味が落ちたときだけ。セラミック包丁は専用のシャープナーか研ぎ直しサービスへ
  • 大きな欠けや波刃の包丁は、自分で研がずにメーカーや刃物店に相談する

今日の夕食の支度の前に、手持ちの包丁でトマトを1枚切って、研ぎどきかどうかを確かめてみてください。

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