多めに作ったおでんは、鍋のまま常温に置かず、粗熱を早く取って冷蔵庫に入れ、2〜3日以内を目安に食べ切るのが無難です。ただしこの日数は、冷ます速さ、冷蔵庫の温度、入っている具、取り分け方で変わるので、「何日までなら必ず大丈夫」とは言えません。食べるときは、食べる分だけを鍋に取り、底から混ぜながら全体が沸くまで火を通します。この記事では、おでんの保存日数と温め直し方を、作った日の冷まし方、冷蔵と冷凍の目安、具ごとの違い、食べないほうがよい状態の見分け方の順にまとめます。
作った日が肝心。鍋のまま常温に置かず、早く冷まして冷蔵庫へ
おでんは「一度冷ますと味がしみる」と言われますが、冷ます場所はコンロの上ではなく冷蔵庫です。大きな鍋いっぱいの煮物は、火を止めてもなかなか冷めません。その間、鍋の中ではぬるい温度が長く続きます。
農林水産省は、煮物やカレーなどの煮込み料理について、ウェルシュ菌による食中毒への注意を呼びかけています。この菌は熱に強い殻(芽胞)を作るため、鍋で加熱しても生き残ります。増えることのできる温度帯は約12〜50℃とされ、加熱したあと室温で冷まして放置し、再び温めた料理が原因になりやすい、という説明です。
つまり、よく煮込んだ鍋でも、ゆっくり冷ませば菌が増える時間を与えてしまいます。寒い季節でも、暖房の効いた部屋に置いた鍋や、厚手の鍋・土鍋の中心は冷めにくいので、「冬だから出しっぱなしで大丈夫」とは考えないほうが安全です。
粗熱を早く取る手順
農林水産省が勧めているのは、粗熱をできるだけ早く取って速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れること、底の浅い平たい容器や保存袋に小分けにすることです。厚生労働省の家庭向けの案内にも、残った食品は清潔な器具と皿を使い、早く冷えるよう浅い容器に小分けして保存する、とあります。おでんなら次の流れになります。
- 食べ終えたら食卓に出したままにせず、その日のうちに片づけに入る
- 清潔な箸やお玉で、浅い保存容器に具を重ならないように並べ、汁をひたひたに注ぐ
- ふたを少しずらして湯気を逃がし、容器の底を保冷剤や氷水に当てて冷ます
- 手で持てるくらいまで冷めたら、ふたを閉めて冷蔵庫に入れる
金属の鍋のまま冷やすなら、シンクに水を張って鍋底を浸し、ときどき汁を混ぜると早く冷めます。土鍋は熱をため込むうえ、熱いうちに水に浸けると割れることがあるので、中身を別の容器に移してください。

冷蔵・冷凍の目安と、具によって違う傷みやすさ
冷蔵は2〜3日以内を目安に、早めに食べ切る
早く冷まして冷蔵庫に入れたものは、2〜3日以内を目安に食べ切ります。これは家庭向けによく挙げられる控えめな目安で、「3日目までは必ず大丈夫」という保証ではありません。次の条件で短くなります。
- 冷ますまでの時間:食卓に長く出していた鍋や、火を止めてから何時間も置いた鍋は、日数をあてにせず早めに食べ切る。不安なら処分する
- 冷蔵庫の状態:庫内は10℃以下に保ち、詰める量は7割程度まで、というのが厚生労働省の示す目安。ぎゅうぎゅうの庫内では冷えるのに時間がかかる
- 取り分け方:口をつけた箸で何度も触った鍋の残りは、手をつけていない分より早く傷むと考える
- 具の種類:下で挙げる傷みやすい具が多いほど、早めに
同省は、時間が経ち過ぎたものは思い切って捨てることも勧めています。何日目かわからなくならないよう、容器に作った日を書いておくと迷いません。
具によって違う、味と傷みの進み方
- 卵・じゃがいも・豆腐・厚揚げ・餅巾着:傷みやすい具として挙げられることが多い。翌日までに、先に食べ切る
- はんぺん・ちくわ・さつま揚げなどの練り物:汁を吸ってふくらみ、うまみが抜けて味がぼやけていく。はんぺんはとくに崩れやすいので、その日のうちに
- 大根・こんにゃく・昆布・牛すじ:翌日のほうが味がしみておいしい。ただし、ほかの具より長くもつわけではない
どの具も同じ汁に浸かっているので、傷みやすい具が入ったままの容器は、その具に合わせて早めに食べ切ります。2日目以降に回したい大根やこんにゃくは、はじめから卵やじゃがいもと別の容器に分けておくと考えやすくなります。じゃがいもやはんぺんが煮崩れて、汁が濁るのも防げます。
冷凍で食感が変わりにくい具、変わりやすい具
2〜3日で食べ切れない分は、作った日のうちに冷凍へ回します。ただし、凍らせると食感が大きく変わる具があります。一般に言われる傾向で分けると次のとおりです。
- 変わりにくい:牛すじ、さつま揚げ・ごぼう巻きなどの揚げた練り物、ちくわ、汁
- 変わりやすい:大根(水分が抜けて筋っぽくなる)、じゃがいも(ぼそぼそする)、こんにゃく・しらたき(固くスポンジのようになる)、ゆで卵(白身がゴムのように固くなる)、豆腐(すが入る)
変わりやすい具は冷蔵のうちに食べ、冷凍するのは変わりにくい具と汁だけにすると失敗しません。冷ました具と汁を1食分ずつ冷凍用の保存袋に入れ、空気を抜いて平らに凍らせます。凍らせていても風味は落ちていくので、2〜3週間を目安に使い切ってください。解凍は冷蔵庫に移すか、凍ったまま鍋に入れて火にかけます。室温に出したまま溶かしたり、解凍したものをもう一度凍らせたりするのは避けます。

温め直しは鍋底から混ぜて沸くまで。食べないほうがよい状態の見分け方
食べる分だけ取り分けて、全体を沸かす
翌日以降は、容器から食べる分だけを鍋に移して温めます。全部を温めては残りをまた冷ます、を繰り返すと、そのたびにぬるい時間ができ、練り物の味も抜けていきます。
- 鍋に具と汁を入れ、弱めの中火にかける
- お玉で鍋底から具を返しながら、汁全体がぐつぐつ沸くまで加熱する
- 沸いてからも火を弱めてしばらく温め、大根や卵などいちばん大きな具を割って、中まで熱くなっているか確かめる
厚生労働省は、残った食品を温め直すときも十分に加熱すること(めやすは75℃以上)、汁物は沸騰するまで加熱することを呼びかけています。農林水産省の案内でも、再加熱の際はおたまで鍋底までかき混ぜ、中心までしっかり加熱する、とされています。冷蔵庫から出したばかりの大根は、汁が沸いても芯が冷たいことがあるので、表面の湯気だけで判断しないでください。
電子レンジを使うなら、耐熱の器に汁ごと入れてふんわりラップをかけ、途中で一度取り出して具の上下を返します。ゆで卵は電子レンジで加熱すると破裂することがあり、NITE(製品評価技術基盤機構)も事故例を挙げて注意を促しています。卵は鍋で温めてください。
「毎日火を入れれば何日でももつ」とは言い切れない
昔からの言い伝えですが、そのまま当てにはできません。先に書いたとおり、ウェルシュ菌の芽胞は熱に強く、農林水産省は「100℃の加熱でも生き残る」と説明しています。沸かして火を止め、コンロの上でゆっくり冷ませば、また菌が増えやすい温度を通ることになります。火を入れたら、そのたびに早く冷まして冷蔵庫へ戻す。日数を延ばす方法ではなく、食べる前の加熱として考えるのが無難です。
食べないほうがよい状態
- 酸っぱいにおいがする
- 汁が糸を引く、とろっとしたぬめりがある
- 温める前から、汁の表面に細かい泡が浮いている
- 具の表面がぬるぬるする、カビのようなものが見える
ひとつでも当てはまれば、鍋ごと処分します。味見で確かめるのもやめてください。少しでも怪しいと思ったら口に入れずに捨てる、というのは厚生労働省の案内にもある基本です。反対に、こうした変化が無いからといって安全だとは限りません。常温に置いた時間や日数に心当たりがあるときは、迷ったら食べないほうを選んでください。

よくある質問
冬なら、鍋のまま一晩台所に置いても大丈夫ですか?
避けたほうが安全です。室温が低くても、熱い鍋の中心はゆっくりしか冷めず、菌が増えやすい温度に長くとどまります。翌朝に沸かし直しても、熱に強い芽胞は残ります。寝る前に、浅い容器へ移して冷蔵庫に入れるところまで済ませてください。すでに一晩置いてしまった鍋が安全かどうかは、見た目やにおいだけでは判断しきれません。少しでも不安があれば食べないでください。小さな子どもや高齢の家族が食べるなら、なおさらです。
鍋ごと冷蔵庫に入れてもいいですか?
粗熱を取ってからなら入れられます。ただ、鍋のままだと中心が冷えるまでに時間がかかります。農林水産省がカレーで行った実験では、鍋ごと冷蔵するより、小分けにして冷蔵したほうが早く冷めたと紹介されています(一例であり、いつも同じ結果になるとは限らないという注記つきです)。熱いまま入れると庫内の温度も上がるので、金属の鍋なら鍋底を水に当てて冷ましてから入れ、土鍋なら中身を別の容器に移してください。
冷蔵したら、汁の表面に白いものが固まっていました。傷んでいますか?
牛すじや練り物から出た脂が、冷えて白く固まっただけのことがよくあります。牛すじをたくさん入れた汁は、煮こごりのようにぷるんと固まることもあります。どちらも温めれば溶けて元に戻ります。温めても消えない膜がある、糸を引く、酸っぱいにおいがする、といった場合は食べないでください。
残った汁は、次のおでんに継ぎ足して使えますか?
家庭で継ぎ足しながら使い続けるのは、おすすめしません。汁も具と同じ日数で考え、2〜3日以内に一度しっかり沸かしてから、うどんのつゆや炊き込みご飯、茶碗蒸しのだしなどに使い切ります。すぐ使わない分は、冷まして保存袋に入れ、冷凍しておくと便利です。

まとめ
- 鍋のまま常温に置かない。寒い季節でも、食べ終えたらその日のうちに冷まして冷蔵庫へ
- 浅い容器に小分けにすると早く冷える。土鍋は水に浸けず、中身を移す
- 冷蔵は2〜3日以内が目安。冷まし方、冷蔵庫の状態、具、取り分け方しだいで短くなる
- 卵・じゃがいも・豆腐・はんぺんは先に食べる。冷凍するのは牛すじ、揚げた練り物、汁
- 食べる分だけ鍋に取り、底から混ぜて沸くまで加熱する。ゆで卵は電子レンジにかけない
- 酸っぱいにおい、糸を引く、ぬめり、泡があれば食べない。迷ったら捨てる
今夜おでんが残ったら、まず浅い保存容器を出して、鍋から移すところから始めてみてください。


