ししゃもをフライパンで焼くと皮がはがれたり腹が割れたりするのは、皮がフライパンに貼りつくこと、焼き固まる前に触ること、強火、表面に残った霜や水気が主な原因です。対処は難しくありません。クッキングシートかフライパン用ホイルを敷いて油をひかずに並べ、弱めの中火〜中火で片面3〜4分、返して2〜3分。返すのは1回だけにします。冷凍品は冷蔵庫で1尾ずつ離れるくらいまで戻し、水気を拭いてから焼きます。この記事では、フライパンで破れないししゃもの焼き方を、原因、手順、冷凍品やシートがない場合、グリルとの違いの順にまとめます。
ししゃもの皮や腹が破れる原因は4つ。先に対処を押さえる
ししゃもは皮が薄く、子持ちのものは腹に卵が詰まっています。体が小さいぶん、フライパンに貼りついたり、腹が割れたりしやすい魚です。破れ方は大きく2通りで、返すときに皮がフライパン側に残るか、焼いている途中で腹が割れて卵が出るかのどちらかです。原因ごとの対処を先に整理します。
| 原因 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 皮がフライパンに貼りつく | 返すときに皮がはがれて残る | クッキングシートかフライパン用ホイルを敷く。敷かないなら油を薄くのばす |
| 焼き固まる前に触る | 動かした拍子に皮がずれて裂ける | 下の面に焼き色がつくまで動かさない。返すのは1回 |
| 強火で焼く | 皮が急に縮み、腹の中がふくらんで割れやすくなる | 弱めの中火〜中火でじっくり焼く |
| 霜や水気が残っている | 水分で貼りつく。凍ってくっついたものをはがすと皮が裂ける | 冷蔵庫で少し戻し、水気を拭いてから焼く |
このうち効果がいちばん大きいのは、1つめの対処です。皮と金属の面をじかに触れさせなければ、返すときの失敗はぐっと減ります。
敷くものは「フライパンで使える」表示を確かめる
敷くものは2種類あります。どちらも油をひかずに焼けます。
- クッキングシート:表面にくっつきにくい加工をした紙。敷いたままでも焼き色がつく
- フライパン用ホイル:片面にくっつきにくい加工をしたアルミホイル。加工した面を上にして使う(どちらの面かは箱の表示で確かめる)
クッキングシートは、製品ごとに耐熱温度と使える調理器具が違います。箱に「フライパンで使える」といった表示のある物を選び、次の3点を守ってください。
- フライパンの底に収まる大きさに切る。縁からはみ出した紙がコンロの火に触れると、焦げたり燃えたりする
- 何ものせないまま加熱しない。ししゃもを並べてから火をつける
- 強火にしない。箱に書かれた耐熱温度と使用時間の範囲で使う

ふつうのアルミホイルは、そのままだと皮が貼りつきやすい素材です。使うなら、油を薄く塗ってから並べてください。
フライパンで焼く手順:並べてから火をつけ、返すのは1回
下ごしらえはほとんど要りません。店で「ししゃも」「子持ちししゃも」として並んでいるものの多くは、樺太ししゃも(カペリン)という魚で、北海道でとれる本ししゃもとは別の種類です。ただ、どちらも軽く塩をして干した状態で売られているのが一般的なので、塩をふったり洗ったりせず、そのまま焼けます。焼き方の考え方も共通です。
用意するのは、ししゃも、直径26cm前後のフライパン、クッキングシート(またはフライパン用ホイル)、フライ返し、菜箸です。一度に焼くのは6〜8尾までにして、入りきらない分は2回に分けます。
- ししゃもの表面をキッチンペーパーで軽く押さえ、水気を取る
- 火をつける前のフライパンにシートを敷き、ししゃもを頭の向きをそろえて、互いに触れないように間をあけて並べる。油はひかない
- 弱めの中火〜中火にかけ、触らずに3〜4分焼く
- 下の面に焼き色がつき、フライ返しが引っかからずに下へ入るようになったら返す
- 裏面を2〜3分焼く。両面に焼き色がつき、腹がふっくら張って全体が熱くなっていれば焼き上がり
時間はあくまで目安です。ししゃもの大きさや冷え具合、コンロの火力で変わるので、時計よりも焼き色で判断してください。子持ちのものは、腹の中心まで熱が届くのに時間がかかります。焼き色が早くつきすぎるときは、火を弱めて時間で補います。
焼き色は、最初に下にした面のほうがきれいにつきます。盛りつけるときに上にしたい面を、先に下にして並べてください。

返すときは箸でつままない
菜箸で胴をつまむと、やわらかい腹に力が集まって皮が裂けます。フライ返しを魚の横から下へすべり込ませ、全体をのせてから、菜箸を軽く添えて、その場で転がすように返してください。幅の広いフライ返しなら、2〜3尾をまとめて返せます。
フライ返しを入れたときに引っかかりを感じたら、下の面がまだ焼き固まっていません。無理に差し込まず、30秒〜1分待ってからやり直します。返したあとは、位置を直したくなっても触らないほうが安全です。
ふたはせず、出てきた脂は拭き取る
ふたをすると蒸気がこもり、皮が湿ってやわらかくなります。皮をパリッとさせたいなら、ふたなしで焼くのが基本です。焼いているうちにシートの上に脂や水分がたまってきたら、菜箸でつまんだキッチンペーパーで吸い取ります。はねが減り、皮も乾いた焼き上がりになります。
冷凍品・シートがないとき・グリルやトースターで焼くとき
冷凍ししゃもは、霜を取って1尾ずつ離れる状態にしてから
冷凍ししゃもは、霜がついたまま、あるいは何尾かくっついて固まったまま焼くと破れやすくなります。溶けた霜の水分で皮が貼りつき、固まったものを無理にはがすと、そこで皮が裂けるからです。
- 焼く分を冷蔵庫に移し、30分〜1時間ほどおく(かたまりが大きいときは長めに)。1尾ずつ無理なく離れるくらいの半解凍で十分
- キッチンペーパーを敷いたバットに重ならないように並べ、上からもペーパーで軽く押さえて水気を取る
- 完全に解凍したものは身がやわらかい。持ち上げるときは腹を避け、頭と尾の近くを支える
- 凍ったまま焼くときは、表面の霜を拭き、弱めの中火で片面4〜5分ずつを目安に長めに焼く

袋に「凍ったまま焼く」「解凍してから焼く」といった指定があれば、そちらを優先してください。常温に長く置く解凍は傷みやすいので避けます。魚の冷凍と解凍の基本は「ぶり 切り身 冷凍 保存 解凍|臭みを出さずにおいしく使い切るコツ」にもまとめています。
シートもホイルもないとき
フッ素樹脂加工のフライパンに、サラダ油小さじ1ほどをキッチンペーパーで薄くのばし、中火で軽く温めてから並べます。焼き時間と返し方は、シートを敷く場合と同じです。
表面の加工が傷んできたフライパンや、鉄・ステンレスのフライパンは貼りつきやすくなります。ししゃもに小麦粉か片栗粉を薄くはたき、油を大さじ1ほどに増やして焼くと、粉の膜が皮を守ってはがれにくくなります。表面がカリッとした、揚げ焼きに近い仕上がりです。
グリルやトースターとの違い
| 器具 | 仕上がり | 破れやすさと注意点 |
|---|---|---|
| フライパン+シート | 焼き色は穏やかで、身はふっくら | 貼りつきにくく、返しやすい。片付けも楽 |
| 魚焼きグリル | 直火で香ばしく、皮がパリッとする | 網に貼りつきやすい。網をよく熱して油を塗るか、フライパン用ホイルを敷く。尾が焦げやすい |
| オーブントースター | 表面が乾いた軽い焼き上がり | 付属の受け皿にフライパン用ホイルを敷けば貼りつきにくい。脂が庫内に落ちると煙や火が出ることがあるので、網にじかに置かず、そばを離れない |
皮を破らずに焼くことを優先するならフライパン、直火の香ばしさを優先するならグリルが向いています。敷くものは、ここでも箱の表示を先に確かめてください。クッキングシートは、グリルやトースターでは使えない製品が多くあります。
よくある質問
油はひいたほうがいいですか?
クッキングシートかフライパン用ホイルを敷くなら、油は要りません。焼いているうちに、ししゃも自身から脂が出てきます。何も敷かずに焼く場合だけ、小さじ1ほどを薄くのばしてください。多すぎると油がはねやすくなります。
シートを敷いたのに皮がくっつきました。なぜですか?
多いのは、返すのが早かったケースです。下の面が焼き固まる前は、加工した面の上でも皮が残ることがあります。焼き色がつくまで待ってから返してください。表面の水気が多かった場合や、フライパン用ホイルの加工面を下にしていた場合も貼りつきます。

焼いている途中で腹が割れて卵が出てきました。食べられますか?
見た目の問題なので、中まで十分に熱が通っていれば食べられます。出た卵はシートの上で焦げやすいので、焼き上がったら早めに皿へ移してください。次に焼くときは火を一段弱め、返すのを1回に抑えると割れにくくなります。
焼いたししゃもが余ったら、どう温め直せばいいですか?
冷めてからラップで包んで冷蔵庫に入れ、翌日までを目安に食べ切ります。温め直しは、シートを敷いたフライパンで弱火にかけ、軽く焼くと皮の食感が戻ります。電子レンジは腹の卵がはじけることがあるので、使うならラップをふんわりかけ、短い時間ずつ様子を見てください。
まとめ
ししゃもをフライパンできれいに焼くポイントは、次の4つです。
- フライパンで使える表示のあるクッキングシートか、フライパン用ホイルを敷く。シートは底に収まる大きさに切る
- 水気と霜を拭き、火をつける前に間をあけて並べる
- 強火にせず、弱めの中火〜中火で片面3〜4分。焼き色がつくまで触らない
- 返すのは1回。箸でつままず、フライ返しを下に入れて返す
焼きたてに大根おろしとレモンを添え、しょうゆを少し落とせば、それだけで一品になります。

冷凍庫にししゃもがあれば、まず食べる分だけ冷蔵庫に移し、フライパンの底に合わせてシートを切るところから始めてみてください。

