ローストチキンをオーブンで焼く時間の目安は、骨付きもも肉(1本200g前後)で180〜200℃・20〜32分、手羽元で200〜220℃・15〜32分、丸鶏(約1〜1.2kg)で200〜230℃・50〜90分です。幅があるのは、オーブンの機種、肉の大きさと本数、焼く直前の肉の温度で火の通りが変わるためです。時間は出発点と考え、最後はいちばん厚い部分の中心まで火が通ったかを確かめます。この記事では、メーカーや食品会社の公式レシピで確認した数字を表にまとめ、焼く前の準備、焼き上がりの確かめ方、生焼けだったときの焼き直しまで順に説明します。
部位と重さで変わる、設定温度と焼き時間
オーブンメーカーと食品会社の公式レシピを見比べると、同じ部位でも温度と時間には幅があります。下の表は、確認できたレシピの数字をそのまま幅で示したものです。
| 部位と大きさ | 設定温度 | 焼き時間 | 確認したレシピの例 |
|---|---|---|---|
| 骨付きもも肉(1本200g前後) | 180〜200℃ | 20〜32分 | 東芝:1本約200gを200℃・予熱なしで22〜32分、180℃・予熱ありで27〜32分/キッコーマン:2本を180℃で20〜30分 |
| 骨付きもも肉(1本260〜300g) | 230℃ | 4本で30〜35分、6本で60〜80分 | オレンジページ:4本を30分、足りなければ5分ほど追加/味の素:6本を20分焼き、バターを塗って20分ずつを2〜3回 |
| 手羽元(6〜20本) | 200〜220℃ | 15〜32分 | エスビー食品:12本を200℃で15分/エバラ食品:6〜8本を220℃で約25分/東芝:約20本(1kg)を200℃・予熱なしで22〜32分 |
| 丸鶏(約1〜1.2kg) | 200〜230℃ | 50〜90分 | 東芝:1kgを230℃・予熱なしで50〜60分/味の素:1.2kgを200℃で50〜60分/日立:約1.2kgを210℃で70〜80分(80〜90分の機種もある) |
| 丸鶏(約1.8〜2kg) | 200〜230℃ | 55〜75分 | パナソニック:約1.8kgを予熱後230℃で約55分〜1時間15分/日本ハム:約2kgを200℃で焼き始め、170℃に下げて合計1時間ほど |
時間に開きが出る理由は、おもに次の3つです。
- 機種と予熱:同じ200℃でも、冷たい庫内に入れて焼き始めるレシピと、予熱してから入れるレシピがある
- 肉の大きさと本数:同じ230℃でも、4本なら30分ほど、6本を一度に焼いて途中でバターを塗るレシピでは60〜80分かかっている
- 焼く直前の肉の温度:パナソニックは丸鶏のレシピで、冷蔵庫で冷え切ったまま焼くと内部に生が残ることがあると注意している
札幌市保健所は、食肉の加熱で確かめる温度は肉の中心部であり、オーブンの庫内温度ではないと注意を促しています。設定温度と時間を守っても、厚みや大きさがいつもと違えば、中まで熱が届いていないことがあります。表の数字は出発点と考え、仕上げは後半の方法で確かめてください。

焼く前の準備で、火の通り方が変わる
予熱はレシピの指定に合わせる
「予熱あり」のレシピに書かれているのは、庫内が設定温度に達してから入れたときの時間です。予熱を省くと、その分だけ加熱が足りなくなります。反対に、東芝の石窯ドームのように「予熱なし」で焼き始めるレシピもあるので、手持ちの機種の料理集に載っているやり方を優先します。
冷蔵庫から出すのは、焼く30分ほど前まで
東芝の丸鶏のレシピは約30分おいて室温になじませるとし、エバラ食品の手羽元のレシピも焼く30分くらい前に冷蔵庫から出すとしています。一方で厚生労働省は、調理前の食品を室温に長く放置しないよう呼びかけています。出しておくのは30分ほどまでにとどめ、暖房の効いた部屋やコンロのそばに置きっぱなしにしないでください。下味を長くなじませるときは、冷蔵庫の中で漬け込みます。
洗わずに水気を拭き、骨に沿って切り込みを入れる
農林水産省は、生の鶏肉を洗うと水と一緒に食中毒菌が飛び散り、キッチンや周りの食材に広がるとして、洗わないよう呼びかけています。表面の水気はキッチンペーパーで拭き取ります。骨付きもも肉は、裏側の骨に沿って切り込みを入れておくと火の通りがよくなります(キッコーマンや東芝のレシピも同じ下ごしらえです)。天板には皮を上にして、重ならないように並べます。
生の鶏肉に触れた手は、ほかの物に触る前に洗います。包丁やまな板、トングは、洗って熱湯をかけるか、焼き上がり用と分けてください。
丸鶏に詰め物をするとき
詰め物をした丸鶏は、腹の中まで火が通りにくいとされます。確認した明治・味の素・NHK「きょうの料理」のレシピでは、炊いたご飯で作るピラフやバターライス、炒めた野菜を詰めていました。生の肉のように、中までの加熱が欠かせない具は入れないのが無難です。約1.2kgの丸鶏に詰め物をして焼く時間は、この3つのレシピで50〜80分でした。

焼き上がりの確かめ方と、足りなかったときの焼き直し
竹串を刺して肉汁を見る
骨付きもも肉は厚みのある部分に、丸鶏はもものつけ根に竹串を刺します。透明な肉汁が出てくれば焼き上がりの合図です(キッコーマン、東芝、パナソニックのレシピに共通)。肉汁に赤みや濁りがあるうちは、加熱を続けます。
見た目だけに頼らず、中心温度を測る
厚生労働省は、食肉の加熱の目安を「中心部を75℃で1分間以上」としています。農林水産省も、鶏肉は中心の温度が75℃以上で1分間以上、中心が白くなるまでを目安に挙げています。
ただし食品安全委員会は、肉の色が変わって火が通っているように見えても加熱が足りない場合があるとして、肉料理は中心部分を温度計で測るのが確実だと説明しています。料理用の温度計を、いちばん厚い部分の中心に先端が届くように刺し、75℃以上が1分続くことを確かめてください。厚みのある丸鶏や骨付き肉ほど、温度計が役に立ちます。
焦げそうなときはアルミホイルをのせる
中まで火が通る前に表面の焼き色が濃くなったら、アルミホイルをのせて焼き続けます。日立・明治・日本ハムのレシピが挙げている方法です。足先だけが焦げるときは、その部分だけを覆います。機種や自動メニューによっては、火花の原因になるとしてアルミホイルを敷かないよう指定していることがあるので、取扱説明書を確認してください。
生焼けだったときは、オーブンに戻して足す
竹串や温度計で足りないとわかったら、オーブンに戻して追加で焼きます。東芝は丸鶏のレシピで、加熱が足りないときは延長加熱するか、予熱なしのオーブン210℃で様子を見ながら焼くよう案内しています。日立も、予熱なしの220℃で様子を見ながら加熱するとしています。5分ほど足しては確かめる、を繰り返すと焼きすぎを防げます。
切り分けてから赤みに気づいた場合も、耐熱皿に並べてオーブンに戻すのが手堅い方法です。電子レンジで足すなら、厚生労働省が挙げる注意(電子レンジ用の容器とふたを使う、調理時間に気を付ける、熱の伝わりにくい物はときどき混ぜる)にならい、途中で位置や向きを変え、厚い部分の中心まで熱くなったかを確かめます。
焼けたら数分休ませてから切る
NHK「きょうの料理」の丸鶏のレシピは、オーブンから出して網の上で5分間休ませてから切り分けています。焼きたてをすぐ切ると、肉汁が流れ出やすいと言われるためです。休ませるのは数分にとどめ、食卓に長く出したままにはしないでください。

よくある質問
冷凍の鶏肉は、凍ったまま焼けますか?
解凍してから焼いてください。凍ったままや半解凍では、表面が焼けても中心が冷たいまま残りやすく、表の時間は当てになりません。厚生労働省は、解凍は冷蔵庫の中か電子レンジで行うよう勧めています。丸鶏は時間がかかるので余裕を持って冷蔵庫へ移し、包装に解凍方法の表示があればそれに従います。
一度にたくさん焼くときは、時間を延ばしますか?
長めにかかると考えておきます。確認したレシピでも、骨付きもも肉4本で30分、6本で60〜80分と、本数の多いほうが長い時間を取っていました。天板に詰め込まず、すき間をあけて並べ、途中で焼き色を見て位置を入れ替えます。焼き上がりは、いちばん大きい1本で確かめてください。
天板は上段と下段のどちらに入れますか?
機種によって違います。東芝・パナソニック・日立の公式レシピは下段、味の素とオレンジページのレシピは上段を指定していました。ヒーターの位置や段の数は機種ごとに異なるので、取扱説明書か付属の料理集の指定に合わせます。
残った分は、どう保存して温め直しますか?
厚生労働省は、残った食品は早く冷えるよう浅い容器に小分けして保存し、温め直すときも十分に加熱する(目安は75℃以上)よう勧めています。骨から身を外して浅い容器に広げ、冷蔵庫に入れます。食べるときは中まで熱くなるよう温め、時間が経ち過ぎたものは処分してください。

まとめ
- 骨付きもも肉(1本200g前後)は180〜200℃で20〜32分、手羽元は200〜220℃で15〜32分、丸鶏(約1〜1.2kg)は200〜230℃で50〜90分が出発点
- 機種、肉の大きさと本数、焼く直前の肉の温度で時間は変わる
- 冷蔵庫から出すのは焼く30分ほど前まで。鶏肉は洗わず、水気を拭いて焼く
- 厚い部分に竹串を刺して透明な肉汁を確かめ、できれば温度計で中心が75℃・1分以上に達したかを見る
- 足りなければオーブンに戻し、5分ほどずつ足して確かめる

まずは手持ちのオーブンの取扱説明書か付属の料理集でローストチキンのページを開き、指定の温度・時間・段を確かめるところから始めてください。

