芋煮の作り方と醤油味・味噌味の違い|山形内陸は牛肉、庄内と宮城は豚肉。4人分の分量と入れる順番

芋煮の作り方と醤油味・味噌味の違いのイメージ画像 料理・食材保存

芋煮の醤油味と味噌味は、汁の味だけでなく、合わせる肉まで違います。山形県の内陸部は牛肉に醤油、同じ県内でも日本海側の庄内地域は豚肉に味噌が定番とされています。宮城県の芋煮も、豚肉と味噌の組み合わせで紹介されるのが一般的です。主役が里芋であること、里芋をやわらかく煮てから肉を入れることは、どちらも変わりません。差が出るのは、調味料を入れるタイミングと脇を固める具材です。この記事では地域ごとの特徴を表で整理したうえで、家庭の鍋で作る4人分の材料の目安、里芋の下ごしらえ、具を入れる順番を、醤油味と味噌味それぞれについて紹介します。

醤油味と味噌味は、合わせる肉と具材まで違う

芋煮は里芋を主役にした鍋料理で、山形県では河原で鍋を囲む「芋煮会」が秋の風物詩になっています。農林水産省の「うちの郷土料理」によると、起源は1600年代半ばごろ。最上川の舟運にたずさわる船頭たちが、河原で鍋を囲んだのが始まりとされています。

同じ名前でも、中身は土地によってかなり変わります。農林水産省の紹介と、宮城県の県産品サイト「宮城旬鮮探訪」の説明をもとに整理すると、次のとおりです。

地域 肉 味付け そのほかの具・特徴
山形県の内陸部 牛肉 醤油 里芋、こんにゃく、ねぎが基本。きのこを入れることも
山形県の庄内地域 豚肉 味噌 厚揚げ、こんにゃく、ねぎなど
山形県の置賜地域 牛肉 醤油(隠し味に味噌を使うところも) 大きめに切った木綿豆腐
宮城県 豚肉 味噌(仙台味噌) 里芋のほか、大根、にんじんなどの野菜

この表は「一般にそう紹介されている」という整理で、同じ地域でも家庭ごとに具や味付けは変わります。山形県の最上地域では、豊富にとれる山菜やきのこを入れることもあるそうです。どちらが本来の姿かを決める話ではなく、土地ごとの違いとして並べて楽しむ料理だといえます。

山形県の内陸部は牛肉と醤油

山形県の内陸部は、牛肉を使った醤油味が基本と紹介されています。具は里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎ。醤油、砂糖、酒で味をつけるので汁は澄んだ茶色になり、牛肉の脂の甘みが里芋にからみます。調味料の顔ぶれはすき焼きに近く、そこへ水をたっぷり加えた甘辛い汁もの、と考えるとイメージしやすいでしょう。

庄内地域と宮城県は豚肉と味噌

同じ山形県でも、日本海側の庄内地域は豚肉に味噌仕立てが定番で、厚揚げやこんにゃく、ねぎを入れます。農林水産省の資料は、養豚が盛んな土地柄から豚肉が使われ、それに合う味噌味が定着したのではないか、という見方を紹介しています。

宮城県の芋煮も、豚肉と味噌の組み合わせです。「宮城旬鮮探訪」では、仙台味噌を使った味噌仕立てで、里芋、大根、にんじんといった野菜がごろごろ入るのが特徴とされています。見た目は豚汁に似ていますが、主役はあくまで里芋です。

醤油味の芋煮と味噌味の芋煮を並べた2つの器

家庭で作る4人分の材料と、里芋の下ごしらえ

直径22〜24cmほどの深めの鍋で作る、4人分の目安です。醤油味の分量は、農林水産省が紹介している内陸地域のレシピ(里芋500g、牛肉150g、水800mlに、醤油大さじ4、砂糖大さじ1と1/2、酒大さじ3で4〜5人分)を土台にしました。味噌は商品によって塩気が違うため、分量に幅を持たせています。

醤油味(牛肉)の材料

  • 里芋:500〜600g(皮つきの重さ。中くらいで10個前後)
  • 牛肉(薄切りか切り落とし。脂のある部位が向く):150〜200g
  • 板こんにゃく:1/2〜1枚
  • 長ねぎ:1〜2本
  • 水:800ml〜1L
  • 醤油:大さじ4前後
  • 砂糖:大さじ1〜1と1/2
  • 酒:大さじ3

味噌味(豚肉)の材料

  • 里芋:500〜600g
  • 豚肉(ばら薄切りかこま切れ):150〜200g
  • 板こんにゃく:1/2枚
  • 長ねぎ:1本
  • 厚揚げ:1枚(庄内風にするとき)
  • 大根・にんじん:合わせて150〜200g(宮城風に野菜を増やすとき)
  • 水:800ml〜1L
  • 酒:大さじ2〜3
  • 味噌:大さじ3〜5(まず大さじ3を溶き、味を見て足す)
  • 砂糖:小さじ1〜2(好みで)

里芋は乾かしてから皮をむき、大きめに切る

里芋は泥を洗い落とし、ざるに上げて表面を乾かしてから皮をむきます。濡れたままだとぬめりで手がすべりやすく、乾いていれば包丁が安定します。手がかゆくなりやすい人は、調理用の手袋を使うと楽です。皮をむいた状態で売られている「洗い里芋」なら、この手間を省けます。

小ぶりなものは丸ごと、大きいものは半分に。煮ているうちに角が取れてくるので、大きめを意識するくらいがちょうどよい大きさです。

ぬめりの扱いは2通りあります。

  • そのまま煮る:農林水産省の内陸地域のレシピは、下ゆでをせず水から煮る手順です。ぬめりが汁に溶けて、とろみのある仕上がりになります。
  • さっと下ゆでする:塩少々でもんで洗い流すか、沸騰した湯で2〜3分ゆでてぬめりを落とします。汁が澄み、吹きこぼれにくくなります。農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」では、庄内の作り方として、さっとゆでた里芋を使う手順が紹介されています。

こんにゃくはちぎり、ねぎは斜めに切る

こんにゃくは包丁で切らず、手かスプーンで一口大にちぎります。断面がでこぼこになり、味がからみやすくなるためです。袋に「アク抜き不要」とあればそのまま、なければ2〜3分下ゆでしてください。長ねぎは1〜2cm幅の斜め切りに。厚揚げを入れるなら、熱湯をかけて表面の油を落とし、一口大に切っておきます。

皮をむいた里芋、ちぎったこんにゃく、斜め切りの長ねぎを並べた調理台

入れる順番と味付けのタイミング

どちらの味も、里芋を先にやわらかくしてから肉を入れ、ねぎは最後、という流れは同じです。違うのは調味料を入れる時点で、醤油は早めに少しだけ、味噌は終盤に溶きます。

醤油味の手順

  1. 鍋に水、里芋、こんにゃくを入れて中火にかける。
  2. 軽く沸いてきたら、醤油を大さじ1だけ加える。アクを取り、弱めの中火で15〜20分を目安に、里芋に竹串がすっと通るまで煮る。
  3. 牛肉を広げながら入れ、残りの醤油、砂糖、酒を加える。浮いてきたアクをすくい、5分ほど煮る。
  4. 長ねぎを加え、くたっとするまで3〜5分煮る。味を見て、薄ければ醤油を小さじ1ずつ足す。

先に醤油を少しだけ入れるのは、農林水産省のレシピにもある手順です。里芋に下味をつけておけば、あとから入れる肉を長く煮ずにすみます。薄切りの牛肉は煮すぎると硬くなりやすいので、里芋がやわらかくなるまで待ってから入れてください。

味噌味の手順

  1. 鍋に水、酒、里芋(下ゆでしておくと汁が濁りにくい)を入れて中火にかける。大根やにんじん、厚揚げを入れるなら、ここで一緒に。
  2. 沸いたらアクを取り、弱めの中火で10〜15分、里芋と根菜がやわらかくなるまで煮る。
  3. 豚肉とこんにゃくを加え、肉の色が変わるまで煮てアクをすくう。
  4. 火を弱め、味噌をお玉の中で煮汁でのばしながら溶き入れる。砂糖を使うならここで加える。
  5. 長ねぎを入れ、煮立たせない火加減で3〜5分温めて味をなじませる。

味噌は煮立てると香りが飛びやすいため、具に火が通ってから入れます。里芋にしっかり味を入れたいときは、手順3のあとに半量を溶いて5分ほど煮て、残りを仕上げに加える方法もあります。

味を見て迷ったときの直し方

  • 醤油味が薄い:醤油を小さじ1ずつ足す。甘みが足りなければ砂糖をひとつまみ
  • 味噌味が薄い:味噌を小さじ2ほど、煮汁でのばして足す
  • 濃くなりすぎた:水か湯を50mlずつ足して温め直す
  • 里芋が煮崩れそう:火を弱め、混ぜる回数を減らす

器に盛ったら、好みで七味唐辛子をふってもよく合います。

コンロの上の鍋で煮えている醤油味の芋煮

よくある質問

冷凍の里芋でも作れますか?

作れます。市販の冷凍里芋は皮をむいて下ゆでしてあるものが多く、凍ったまま鍋に入れられます。生の里芋より早くやわらかくなり、煮崩れもしやすいので、煮る時間は袋の表示を目安に短めにしてください。水からではなく、汁が沸いてから加えると形が残りやすくなります。

醤油味に豚肉、味噌味に牛肉を使ってもいいですか?

かまいません。もともと地域ごとに肉も味付けも違う料理で、家庭の鍋に決まりはないからです。山形県の置賜地域には、牛肉と醤油の芋煮に隠し味として味噌を加えるところもあると紹介されています。いつもと違う組み合わせにするときは、調味料を少なめに入れ、味を見ながら足していくと失敗しにくくなります。

翌日に食べるとき、気をつけることはありますか?

鍋のまま常温に置いておかないことです。農林水産省は煮込み料理について、常温で放置しないこと、保存するなら底の浅い容器に小分けして早く冷まし冷蔵庫に入れること、食べる前に鍋底からよくかき混ぜて中心まで十分に加熱することを呼びかけています。芋煮も同じ扱いで、残った分は冷蔵して翌日までを目安に、早めに食べ切ってください。里芋は温め直すたびに崩れやすくなるので、食べる分だけ小鍋に移して温めると形が保てます。

締めは何がおすすめですか?

定番はうどんです。農林水産省の紹介によると、山形では具が少なくなった鍋にうどんを入れて締めにする食べ方が定着していて、カレールウを加えてカレーうどんにすることもあるそうです。味噌味なら、うどんのほかにごはんを入れて雑炊風にしてもよく合います。汁が煮詰まっていたら、湯を少し足してから麺を入れてください。

芋煮の残りの汁にうどんを入れた締めの鍋

まとめ

芋煮の作り方と醤油味・味噌味の違いを、最後にもう一度整理します。

  • 山形県の内陸部は牛肉と醤油、庄内地域と宮城県は豚肉と味噌が定番とされる
  • 主役はどちらも里芋。皮は乾かしてからむき、大きめに切る
  • 里芋がやわらかくなってから肉を入れ、ねぎは最後に加える
  • 醤油は沸いたら少しだけ先に入れ、残りは肉と一緒に。味噌は具に火が通ってから溶く
  • 4人分は里芋500〜600g、肉150〜200g、水800ml〜1Lが目安
  • 残ったら常温に置かず冷蔵し、翌日までに食べ切る
竹ざるに盛った皮つきの里芋と長ねぎ

里芋を買ったら、まずは家にある肉に合わせて醤油味か味噌味かを決め、次の機会にもう一方も作って食べ比べてみてください。

あわせて読みたい

タイトルとURLをコピーしました