プランターで冬野菜を育てるなら、種まきの中心は9月から10月です。10月中旬からでも、関東から関西の平地(中間地)の目安では、ほうれん草と小松菜はまだ間に合います。水菜・春菊・ラディッシュ・小かぶは締め切りが近いので、まくなら10月中旬のうちに。大根や白菜は種まきの時期を過ぎているため、来年に回すのが無難です。ただし、まける時期は地域と品種で変わります。買った種袋の裏にある栽培暦で、自分の地域のまき時を必ず確かめてください。この記事では、野菜ごとの時期の目安と、初めてでも迷わないプランターの準備、種のまき方、寒くなってからの防寒までをまとめます。
10月中旬からまける野菜、急ぐ野菜、見送る野菜
ここで挙げるのは秋まきの時期で、関東から関西の平地にあたる「中間地」(種袋では一般地・温暖地とも書かれます)の目安です。種苗会社の栽培暦を見比べると、同じ野菜でも会社や品種によって締め切りが2〜3週間ずれます。まく前に、買った種袋の裏にある地域別の栽培暦で、自分の地域のまき時を必ず確かめてください。
まだ余裕がある野菜
- ほうれん草:9月中旬〜11月中旬ごろ。秋まきの期間が長く、10月中旬はちょうど適期です。冬のあいだもまけるとする栽培暦もあります。「秋まき用」と書かれた品種を選びます
- 小松菜:9月〜10月下旬ごろ。10月中旬までとする栽培暦もあるので、早めにまきます。11月以降にまく場合は、ビニールや不織布で覆って保温するのが前提になります
締め切りが近い野菜(まくなら10月中旬のうちに)
- 水菜:9月〜10月中旬ごろ。10月上旬までとする品種もあります
- 春菊:8月中旬〜10月下旬ごろ。ただし9月いっぱいまでとする栽培暦もあり、10月中旬は遅めの部類です
- ラディッシュ(二十日大根):8月下旬〜10月中旬ごろ。育てやすいのは9月までで、10月中旬以降は保温が要るとする品種もあります
- 小かぶ:9月が中心です。10月中旬までまける品種もありますが、9月下旬までとする栽培暦が多いので、種袋で確かめてからにします
- ベビーリーフ用のリーフレタス:若い葉を摘んで食べるミックスの種なら、10月下旬までまける物があります
気温が下がっていく時期は、まくのが遅れるほど育ちがゆっくりになります。この5つは、あとで説明する不織布での保温を前提にしてください。
種まきは見送り、苗か来年に回す野菜
- レタス類:株を大きく育てる種まきは9月が中心で、10月にまくと冬じゅう覆いをかけて育てる形になります。10月中旬からなら、園芸店で苗を買って植えるのが近道です
- ブロッコリー:種まきは7〜8月が中心(遅い品種で9月はじめまで)。苗の植えつけも9月が中心で、10月中旬は収穫の遅い品種がぎりぎり間に合うかどうかです
- 大根:種まきは8月下旬〜9月。中間地では9月下旬が限界とされ、短いミニ大根でも10月上旬までです。種をじかにまいて育てる野菜なので、来年の楽しみにします
- 白菜:種まきは8月〜9月はじめ、苗の植えつけも9月いっぱいが目安です。遅れると葉が巻かないまま終わりやすいので、今年は見送ります
- キャベツ:冬に収穫する分の種まきは7〜8月です。秋にまいて春に収穫する作り方もありますが、収穫までが長いので、初めてなら葉物からが無難です
寒冷地と暖地の場合
北国や標高の高い寒冷地は、中間地より2〜3週間以上早く締め切りが来ます。10月中旬には、屋外で種からまける野菜はほとんど残っていません。冬も暖かい暖地は、逆に2〜3週間ほど遅くまでまけます。自分の住まいがどの区分に入るかも、種袋の表や地図で確かめてください。

プランターと土をそろえて、すじまきで種をまく
用意する物
- プランター:幅65cm前後の横長の標準的な物で、小松菜やラディッシュは育てられます。ほうれん草は根が深く伸びるので、深さが20〜25cmある物を選ぶと安心です
- 野菜用の培養土:肥料があらかじめ混ぜてある物なら、袋から出してそのまま使えます
- 鉢底ネットと鉢底石:水はけをよくするために底へ敷きます。水はけのよいプランターや土なら、石はなくてもかまいません
- 防虫ネットと支柱:暖かい日が続くうちは、小松菜・水菜・小かぶ・ラディッシュなどアブラナ科の野菜に虫がつきます。種をまいたらすぐ、すき間なくかけます
- 不織布:寒くなってからの防寒に使います。園芸売り場に野菜用の物があります
- はす口のついたじょうろ、移植ごて、はさみ
種まきの手順
- 底に鉢底ネットと鉢底石を敷き、培養土を縁の2〜3cm下まで入れます。この余白に、水やりのとき水がたまります
- 全体にたっぷり水をかけ、表面を平らにならします
- 細い棒や板を押し当て、深さ1cmほどのまっすぐな溝を、10cmほど離して2本つけます。溝にまくこの方法を「すじまき」といいます
- 溝に沿って、種を1cm間隔で落としていきます
- 溝が隠れるくらいに土をかぶせ、手のひらで軽く押さえます
- じょうろのはす口を上に向け、種が流れないようやさしく、底から水が出てくるまでかけます
春菊とレタスは、発芽に光が要る種です。土はごく薄く、種がわずかに隠れる程度にとどめます。反対にほうれん草は、1cmほどしっかり土をかけます。
肥料を足すかどうか、足すならどれくらいかは、培養土の袋と肥料の表示に従ってください。

芽が出たあとの世話と、寒くなってからの防寒
置き場所と水やり
置き場所は日当たりで決めます。少なくとも6時間ほど日が当たる場所が目安です。冬は太陽が低くなり、夏は日なただった場所が手すりや隣の建物の陰に入ることがあるので、置く前に昼間の日の当たり方を見ておきます。ほうれん草は、夜に明かりが当たり続けると花芽がつきやすくなります。外灯や部屋の照明が届く場所は避けてください。
水やりは、芽が出るまでは土を乾かさないこと。芽が出そろったら、土の表面が乾いたときに、午前中にたっぷり与えます。いつも湿ったままだと根が傷むので、表面が湿っているあいだは待ちます。
間引き
芽が混み合ったままだと、日が当たらず、ひょろひょろに育ちます。2回に分けて間引きます。
- 1回目:双葉が開いたら、育ちの悪い芽や混み合ったところを抜く
- 2回目:本葉が3〜4枚になったら、隣どうしの葉が軽く触れ合うくらいの間隔にする
最終的な間隔は、小松菜・ほうれん草・春菊が5〜6cm、水菜が5cm、ラディッシュが2〜3cm、小かぶが10cmほどが目安です。残す株の根を動かさないよう、抜きにくいときははさみで根元を切ります。間引いた葉も食べられます。
不織布で寒さと霜を防ぐ
10月にまいた野菜は、小さいうちに冬を迎えます。朝の冷え込みが強くなってきたら、不織布を野菜の上からふんわりかけ、風で飛ばないよう端を洗濯ばさみやひもで留めます。葉にじかにかけるこの方法を「べたがけ」といいます。不織布は光と水を通すので、かけたまま水やりができます。
- ほうれん草と小松菜は寒さに強く、霜に当たっても枯れにくい野菜です。それでも覆いをかけると育ちが早まり、葉先の傷みを防げます
- 小松菜は、芽が小さいうちに寒さに当たり続けると、大きくなる前に花芽がつくことがあります。本葉が4枚ほどになるまでは、とくに保温を意識します
- 春菊・水菜・レタスは、種苗会社の栽培暦でも、冬のあいだは覆いをかけて育てる形になっています。霜が降りる前にかけておきます
- 強い寒波や雪の予報が出たら、プランターごと軒下や壁ぎわへ移します
収穫までの日数は、寒いほど延びる
「1か月で収穫」といった目安は、暖かい時期の話です。小松菜は暖かい時期なら30〜40日で採れますが、秋まきでは50〜80日が目安になります。ほうれん草も、9月まきなら約1か月のところ、10〜11月まきでは2か月以上かかります。水菜は冬で80日前後、ラディッシュは涼しい時期で40〜50日です。10月中旬にまいたら、葉物の収穫は12月から年明けと見込んでおくと、育ちが遅くても焦らずに済みます。

よくある質問
10月下旬や11月になってしまったら、もう何もまけませんか?
中間地なら、ほうれん草は11月中旬ごろまでまけます。小松菜も、不織布やビニールで覆って保温すれば育てられます。ほかの野菜は無理にまかず、苗が出回っているレタス類を植えるか、春まきの時期を待つほうが確実です。寒冷地では屋外の種まきがほぼ終わっているので、春に回します。
種をまいたのに、なかなか芽が出ません。失敗でしょうか?
気温が下がると、発芽までの日数が延びます。小松菜は暖かければ2〜3日で芽が出ますが、寒い時期はその2〜3倍かかります。ほうれん草や春菊は、もともと5日から1週間ほどかかる野菜です。すぐにあきらめず、土を乾かさないようにして1〜2週間は様子を見てください。それでも出ないときは、土が乾いた、土を厚くかけすぎた、水やりで種が流れた、といった原因が考えられます。ほうれん草と小松菜なら、まき直しがまだ間に合います。

肥料は途中で足したほうがいいですか?
肥料入りの野菜用培養土なら、育つ期間の短い葉物は、追加の肥料なしで収穫まで育つこともあります。ただ、秋まきは収穫までが長くなります。足す場合は、2回目の間引きのあとが目安です。与える時期と量は、培養土の袋と肥料の表示に従ってください。
まとめ
初心者がプランターで冬野菜を育てるときの種まき時期は、「9月から10月のうちに、寒さに強い葉物から」が基本です。要点を振り返ります。
- 中間地で10月中旬からでも余裕があるのは、ほうれん草と小松菜
- 水菜・春菊・ラディッシュ・小かぶは締め切りが近い。まくなら10月中旬のうちに、保温を前提にする
- レタス類は苗を買って植える。大根と白菜は来年の8〜9月に回す
- 幅65cm前後のプランターと野菜用の培養土を用意し、すじまきにして2回間引く
- 冷え込んできたら不織布をかける。収穫までの日数は、暖かい時期の倍ほどを見込む
- 時期は地域と品種で変わる。種袋の裏の栽培暦で、自分の地域のまき時を確かめる

まずは園芸店でほうれん草か小松菜の種を手に取り、袋の裏の栽培暦で自分の地域のまき時を確かめるところから始めてください。

