炊飯器の内釜の内側が剥がれて、銀色の地金が見えてきた。このまま炊いたご飯を食べてよいのか、気になるところです。象印・タイガー・パナソニック・三菱電機・日立の5社の案内を確かめたところ、フッ素加工が剥がれて口に入っても体に害や影響は無い、という趣旨で共通していました。象印やパナソニックのようにそのまま使えると書いている会社がある一方、ご飯がこびりつくようになったら内釜の交換を、とも案内されています。内釜は型番を調べれば単品で買えます。この記事では、使い続けるか替えるかの見分け方、内釜の買い方と部品の保有期間、剥がれを早めない使い方を順にまとめます。
剥がれた内釜はそのまま使えるのか。メーカー5社の案内
内釜の内側の黒っぽい膜は、ご飯がこびりつかないようにするフッ素樹脂の加工です。タイガー、日立、三菱電機は、使ううちに消耗・摩耗していくものだと説明しています。
剥がれてきたときにどうするかについて、各社の公式の案内(よくある質問。2026年10月に確認)は次のとおりです。
- 象印:コーティングが剥がれても内釜はそのまま利用できる。ご飯がこびりつきやすくなるが、炊飯や保温の性能、衛生面に支障はない。剥がれたフッ素をご飯と一緒に食べても、人体には吸収されず排出される
- タイガー:フッ素樹脂は口に入っても吸収されず排出されるので、体に害はない。剥がれていても、ご飯がこびりつかなければそのまま使える
- パナソニック:内側のフッ素加工が剥がれても炊飯性能への影響はなく、そのまま使える。ご飯と一緒に食べても、人体には吸収されずに排出される
- 三菱電機:内釜のフッ素樹脂や素地は食品衛生法に適合した材質で、剥がれたものを万が一食べても人体に影響はない。通常、炊飯性能への影響もない
- 日立:フッ素皮膜に人体への害はない。ただし、ご飯のこびりつきを抑えるものなので、内釜の交換をすすめる
5社とも、口に入っても体に害や影響は無いという趣旨で共通しています。違いが出るのはその先で、象印とパナソニックはそのまま使えると書き、タイガーはご飯がこびりつかなければそのまま使えると書いています。日立は交換をすすめています。気になるなら内釜だけを買い替えられる、という案内は5社に共通です。
黒いかけらがご飯に付いているのを見つけたら、その部分を取り除きます。気づかずに食べてしまった場合については、上のとおり各社とも、吸収されずに排出される、人体に影響はないと案内しています。
ここに挙げたのは各社の一般的な案内です。機種や内釜の素材によって注意点が違うことがあるので、手元の取扱説明書と、自分の機種のメーカーの案内も確かめてください。体調のことで不安があるときは、医師に相談してください。

交換を考える目安と、内釜だけを買う方法
替えどきは「こびりつき」と「変形」
- ご飯がこびりつく:よそうたびにご飯が内釜に残る、洗うのに手間がかかる、という状態になったら替えどきです。タイガー・パナソニック・三菱電機が買い替えの目安に挙げているのもこの点です
- 見た目が気になる:象印は、剥がれが気になるときは内釜を購入できると案内しています。気になりながら毎日使うくらいなら、替えてしまうのも一つの考え方です
- 内釜が変形している:これは剥がれとは別の話です。パナソニックは、内釜が変形すると炊飯性能に影響が出たり、本体の不具合につながったりするとして、買い換えを求めています。落としてへこんだ、ふちがゆがんだ、底が傷んで炊きムラが出る、というときは使い続けず、取扱説明書やメーカーの案内に従ってください
買う前に、内釜の保証を確かめる
内釜のフッ素加工には、保証が付いている機種があります。パナソニックは、機種によって購入日から3年または5年の保証があり、取扱説明書どおりに使っていたのに剥がれた場合が対象だと案内しています。同社によれば、金属たわしで洗った、泡立て器でお米を研いだ、といった使い方による剥がれは、期間内でも有料になります。日立も保証期間は機種によって違うとしており、タイガーにも内なべのフッ素コーティングの剥がれを3年間保証する機種があります。買って数年以内なら、取扱説明書と保証書を見て、購入した販売店に相談してみてください。
型番で探せば、内釜は単品で買える
- 炊飯器本体のラベルか取扱説明書で、本体の型番を確かめる
- 取扱説明書の部品のページで、内釜の部品番号を確かめる
- メーカーの部品販売サイトで探すか、購入した店や家電量販店に取り寄せを頼む
部品としての呼び名はメーカーで違い、象印は「なべ」、タイガーは「内なべ」、日立は「内がま」と書いています。象印は、形が同じように見えても機種ごとに使える部品が違うと注意しています。型番の合わない内釜で代用しないでください。
部品が手に入る期間と、価格の幅
修理や交換に使う部品には、メーカーが保有期間を決めています。パナソニックと東芝はジャー炊飯器の補修用性能部品の保有期間を6年としていて、数え始めるのは製造を打ち切った時点です。日立は内釜の保有年数を生産終了後6年、象印は製造終了から6年がたつと在庫が無くなり次第販売終了、と案内しています。長く使っている炊飯器では、内釜がもう手に入らないことがあります。
価格は機種で大きく違います。日立の公式パーツショップを2026年10月に見たところ、掲載されていた内釜27点は税込8,140円〜22,770円でした。ほかのメーカーや機種では価格帯が違うので、必ず自分の型番で確かめてください。
本体ごと買い替えるか迷ったら
- 内釜の価格を調べ、いま買える本体の価格と比べる。差が小さいなら、本体ごと替える選択もある
- 製造終了から年数がたった機種は、ほかの部品も手に入りにくくなっていく
- 保温がうまくいかない、ふたのパッキンが傷んでいるなど、内釜以外にも不調があるなら本体の買い替えを考える
- 本体に不調が無く、内釜の在庫があるなら、内釜だけ替えるほうが出費は小さい

コーティングの剥がれを早めない使い方
新しい内釜に替えても、同じ使い方をしていればまた剥がれてきます。各社が挙げている注意点は、ほぼ共通しています。
お米を研ぐとき
内釜でお米を研いでよいかは、機種によります。象印は自社の炊飯ジャーはすべて内釜で洗米できるとし、日立も内釜で研げると案内していますが、手元の取扱説明書で確かめるのが確実です。研げる機種でも、次のことは避けます。
- 泡立て器で研ぐ(象印・パナソニック・日立)
- 金属製のざるを内釜に入れたり当てたりして、研ぐ・水を切る(象印・タイガー・パナソニック・三菱電機)
- 小石などの異物が混ざったまま研ぐ(象印)
よそうとき・味を付けるとき
- 金属製のおたまなど、硬い道具を使わない。タイガーは、付属品か木製のしゃもじを使うよう案内している
- しゃもじで内釜のふちをたたかない。ふちにご飯粒を押し当てて取らない
- 内釜の中で酢を混ぜない(パナソニックは塩やふりかけも挙げている)。すし飯は別の器に移してから合わせる
- 炊き込みご飯など調味料を使ったあとは、早めに洗う
- ガスの火、IHコンロ、電子レンジにかけない
洗うとき
- やわらかいスポンジで洗う
- 金属たわし、ナイロンたわし、スポンジの硬い面、みがき粉(クレンザー)は使わない。象印はメラミン入りスポンジと漂白剤も不可としている
- スプーンや食器を入れて、洗いおけ代わりにしない
- 食器洗い乾燥機や食器乾燥機を使ってよいかは説明書で確かめる。タイガーは圧力IHタイプ向けの案内で、使わないよう求めている
重曹やクエン酸を使った手入れは、取扱説明書に書かれている方法だけにします。

よくある質問
剥がれたところのご飯が茶色くなります。さびですか?
パナソニックは、フッ素が剥がれた箇所にお米のでんぷん質がこびりついて焦げやすくなり、そこに触れたご飯が茶色くなることがあると説明しています。金属のさびではない、という案内です。内釜の素材によっては事情が違うこともあるので、洗っても落ちない変色が気になるときは、メーカーの相談窓口に確かめてください。
内釜の外側の塗装が剥がれました。使えますか?
パナソニックは、外側の塗装が剥がれた場合も炊飯性能への影響はなく、そのまま使えると案内しています。ただし、同社の内面フッ素加工の保証では、外側の塗装の剥がれと内釜の変形は対象外です。ほかのメーカーの機種は、取扱説明書かメーカーの窓口で確かめてください。
同じメーカーの、別の機種の内釜は使えますか?
使わないでください。象印は、内釜などの部品は形が同じように見えても機種ごとに使えるものが違い、取扱説明書や公式の部品販売サイトに載っていない部品は故障の原因になる、と案内しています。必ず本体の型番に合う部品番号のものを選びます。
古い機種で、内釜がもう売られていません
部品の保有期間は、製造打ち切りから6年が目安です。メーカーの部品販売サイトで販売終了になっていたら、購入した店かメーカーの窓口に在庫を問い合わせます。それでも無ければ、本体の買い替えを考える時期です。

まとめ
- 確かめた5社とも、内釜のフッ素加工が剥がれて口に入っても、人体に害や影響は無いという趣旨の案内だった
- 象印やパナソニックはそのまま使えると書き、日立は交換をすすめている。こびりつきが気になったら内釜を替える
- 変形やへこみは剥がれとは別の話。使い続けず、取扱説明書とメーカーの案内に従う
- 内釜は型番で探して単品で買える。その前に、内釜の保証期間を確かめる
- 部品の保有期間は製造打ち切りから6年が目安。古い機種は在庫を確かめる
- 金属の道具、硬いスポンジ、食器のつけ置き、内釜での酢合わせは、剥がれを早めるので避ける

まずは炊飯器本体のラベルで型番を確かめ、取扱説明書の保証と部品のページを開いてみてください。

