肉じゃがは、肉と野菜を油で炒めてからだしを注ぎ、砂糖・みりん・酒を先に、しょうゆを後から加えて煮ます。じゃがいもに竹串がすっと通ったらそこで火を止め、落とし蓋をしたまま20〜30分ほど置いてください。味は火を止めて煮汁に浸かっている間にも入るので、やわらかくなったあとは煮続けないことが、形を残す近道です。この記事では、肉じゃがの味しみをよくして煮崩れを防ぐ順番を、4人分の分量と手順、じゃがいもの品種と切り方、火加減と落とし蓋、崩れた・薄い・濃いときの直し方の順にまとめます。
具材は炒めてから煮る。調味料は砂糖・みりんが先、しょうゆが後
肉じゃがで迷いやすいのは、具材を鍋に入れる順と、調味料を入れる順の2つです。先に、4人分の分量と全体の流れを示します。
材料の目安(4人分)
| 材料 | 分量の目安 | 下ごしらえ・入れ方 |
|---|---|---|
| じゃがいも | 中4個(500〜600g) | 1個を4等分ほどに切り、角を落として水にさらす |
| 玉ねぎ | 1個 | くし形に切る |
| にんじん | 1/2〜1本 | じゃがいもよりひと回り小さい乱切りにする |
| 牛または豚の薄切り肉 | 200g | 大きければ食べやすく切る |
| しらたき | 1袋(200g前後) | 下ゆでする。長いものは食べやすく切る |
| だし(または水) | 300〜400ml | 具の7割ほどが浸かる量に加減する |
| 砂糖・みりん・酒 | 各大さじ2 | だしが沸いたら先に入れる |
| しょうゆ | 大さじ3 | 5分ほど遅らせて入れる |
甘さと塩気の好みは家庭で違います。しょうゆは大さじ2と1/2から入れ、残りは火を止める直前に味見をしてから足すと、濃くなりすぎません。牛肉でも豚肉でも手順は同じです。

鍋に入れる順番と手順
- 鍋に油を熱して肉を広げ、色が変わるまで炒める。玉ねぎ、にんじん、水気を切ったじゃがいもを加え、全体に油が回るまで炒める
- だしを注ぎ、沸いたらアクをすくう
- しらたき、砂糖、みりん、酒を加え、落とし蓋をして弱めの中火で5分ほど煮る
- しょうゆを加え、落とし蓋を戻してさらに10分前後煮る
- いちばん大きいじゃがいもに竹串を刺し、すっと通ったら火を止める
- 落とし蓋をしたまま20〜30分ほど置き、食べる直前に温め直す
煮る時間は、切った大きさや品種で前後します。しょうゆを加えて5分ほどたったら一度竹串を刺し、まだ硬ければ2〜3分おきに確かめてください。
炒めてから煮る理由
じゃがいもは、生のまま煮汁に入れるより、先に炒めて表面に油をまとわせたほうが、煮ている間に角が崩れにくくなると言われます。肉を最初に炒めるのは、出てきた脂とうまみを野菜に移すためです。じゃがいもの縁が少し透き通ってくるまでを目安にし、焼き色はつけません。
砂糖・みりんを先に、しょうゆを後にする理由
煮物の調味料は「さしすせそ」の順に入れる、と昔から言われます。砂糖は食材に入るのに時間がかかり、先に塩気が入ると甘みがのりにくい、というのが一般的な説明です。しょうゆは長く煮ると香りが飛びやすいので、後から加えます。みりんには煮崩れを抑える働きがあるとも言われ、甘みと一緒に先に入れておくと、じゃがいもの形を残す助けになります。
全部を一度に入れても肉じゃがにはなります。ただ、しょっぱいのに甘みが中まで感じられない仕上がりになりやすいので、しょうゆだけ5分遅らせるところから試してみてください。
煮崩れを防ぐのは、じゃがいもの品種・切り方と火加減
入れる順を守っても崩れるときは、じゃがいもの種類か、煮ている間の扱いに原因があります。
メークインは崩れにくく、男爵は崩れやすい
| 品種 | 食感 | 煮崩れ | 肉じゃがでの扱い |
|---|---|---|---|
| メークイン | しっとり、なめらか | しにくい | 形を残したいとき向き。大きめに切ってそのまま煮る |
| 男爵 | ほくほく | しやすい | 大きめに切って面取りし、竹串で確かめるのを早めにする |
| きたあかり | ほくほく、甘みが強い | しやすい | 男爵と同じ扱いにする |
袋に品種が書かれていないときは、細長くて表面がなめらかなものがメークイン、丸くてごつごつしたものが男爵の目安です。角が少し溶けて煮汁にとろみがつく男爵の仕上がりが好みなら、無理に替える必要はありません。火を止めるのを早めにすれば、溶けすぎは防げます。
大きめに切り、角を落として水にさらす
- 大きめに切る:中くらいのじゃがいもなら4等分ほどにします。小さく切ると、にんじんが煮える前にじゃがいもだけ先にやわらかくなって崩れます
- 面取りをする:切り口の角を包丁かピーラーで薄くそぎ落とします。角は最初に煮溶ける部分なので、先に取っておくと煮汁がにごりにくくなります
- 水にさらす:切ったら5〜10分ほど水に浸けて表面のでんぷんを落とし、ざるに上げて水気をしっかり切ります。濡れたまま鍋に入れると油がはねます
- にんじんは小さめに:じゃがいもより火が通りにくいので、ひと回り小さく切ると煮える時間がそろいます
そぎ落とした角は、みそ汁の具にすれば無駄になりません。
沸いたら火を弱め、落とし蓋をして混ぜない
煮汁がぐらぐら沸き立つと、じゃがいも同士がぶつかって角から削れていきます。沸くまでは中火、沸いたあとは、落とし蓋の縁から小さな泡が静かに上がる程度まで火を弱めます。
だしは、具の7割ほどが浸かる量で足ります。全部がかぶるほど入れると、具が煮汁の中で浮いて動き、味も薄まります。少ない煮汁でも上まで味が回るように、落とし蓋は具に直接のせてください。なければ、アルミホイルかクッキングシートを鍋よりひと回り小さく切り、中央に穴をあけたもので代用できます。

煮ている間は、お玉や箸でかき混ぜません。上下を入れ替えたいときは、鍋の取っ手を持って軽くゆすります。
味は火を止めたあとにも入る。置き方と、崩れた・薄い・濃いときの直し方
竹串が通ったら火を止め、落とし蓋をしたまま置く
煮物の味は、煮ている間だけでなく、火を止めて煮汁に浸かったまま冷めていく間にも中へ入っていきます。「味がしみるまで」と煮続けると、じゃがいもが崩れて煮汁だけが濃くなります。やわらかくなったら煮るのをやめ、あとは時間に任せます。
- 具の半分ほどが煮汁に浸かっている状態で火を止める(煮詰めきらない)
- 落とし蓋はのせたままにし、鍋ぶたをするなら少しずらして湯気を逃がす
- 20〜30分ほど置き、食べる直前に弱めの火で温め直す
- それより長く置くなら、粗熱が取れた時点で煮汁ごと保存容器に移して冷蔵庫に入れる。常温でひと晩置かない
夕食に出すなら、ほかのおかずより先に肉じゃがを火にかけ、置いている間に汁物や副菜を作ると、待ち時間が無駄になりません。

崩れた・味が薄い・濃いときの直し方
| 状態 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| じゃがいもが崩れた | 煮すぎ、強火、途中で混ぜた | それ以上触らずに火を止める。溶けた分は煮汁のとろみとして食べるか、翌日つぶしてコロッケの具にする |
| 味が薄い | 置く時間が短い、煮汁が多い | まず置く。それでも薄ければ、具をいったん取り出して煮汁だけを煮詰め、具を戻して絡める |
| 味が濃い | 煮汁が煮詰まった | だしか水を大さじ2〜3ずつ足して温め直す。卵でとじる、ごはんにのせるなど、薄めて食べる手もある |
| じゃがいもが硬い | 火が通る前に煮汁が減った | だしか水を少し足し、落とし蓋をして弱火で煮る |
薄いからと煮ている途中でしょうゆを足していくと、置いたあとに濃くなりがちです。味見は火を止める直前に煮汁で行い、少し薄いと感じるくらいで止めておくと、あとから調整がききます。
よくある質問
しらたきはいつ入れますか?肉の隣に入れると硬くなりますか?
だしが沸いてアクを取ったあと、砂糖やみりんと同じタイミングで入れると、味が入る時間を長く取れます。袋の水を切って2〜3分下ゆでし、ざるに上げてから加えてください。特有のにおいが抜けます。「アク抜き不要」と書かれた商品は、さっと水洗いするだけで使えます。

「しらたきを肉の隣に置くと肉が硬くなる」とよく言われます。これについては、日本こんにゃく協会が2017年に、すき焼きの割り下で牛肉を加熱する実験を行い、しらたきの有無で肉の硬さに大きな違いはなかったと発表しています。気になるなら鍋の中で離して入れれば十分で、肉が硬いときは煮すぎのほうを先に疑ってください。
肉が硬くなってしまいます。防ぐ方法はありますか?
薄切り肉は、長く煮るほど硬くなります。炒めて色が変わった肉をいったん取り出し、しょうゆを加えるタイミングで鍋に戻すと、煮る時間を短くできます。野菜だけを先に炒め、だしが沸いてから肉を広げて入れる方法もあります。この場合は肉からアクが出るので、すくってから調味料を加えます。
絹さやなどの青みは、いつ入れますか?
一緒に煮込むと色がくすみます。別に塩ゆでしておき、盛りつけるときにのせると緑が残ります。鍋ひとつで済ませたいなら、筋を取った絹さやを食べる直前の温め直しのときに加え、1〜2分ほどで火を止めてください。
作り置きして、翌日に食べてもいいですか?
粗熱が取れたら煮汁ごと保存容器に移して冷蔵庫に入れ、2〜3日を目安に早めに食べきってください。コンロの上に鍋のままひと晩置くのは避けます。温め直すときは鍋に煮汁ごと戻し、弱めの火で、混ぜずに鍋をゆすりながら中まで熱くします。酸っぱいにおいがするなど、少しでも気になる変化があれば食べないでください。じゃがいもは冷凍すると食感が変わりやすいので、冷凍には向きません。
まとめ
肉じゃがの味しみをよくして煮崩れを防ぐ順番は、次の5つに整理できます。
- 肉、野菜の順に炒め、じゃがいもに油を回してからだしを注ぐ
- 砂糖・みりん・酒を先に入れて5分ほど煮てから、しょうゆを加える
- じゃがいもは大きめに切って面取りし、沸いたら火を弱めて、落とし蓋をしたまま混ぜずに煮る
- 竹串がすっと通ったら火を止め、落とし蓋をしたまま20〜30分ほど置く
- 崩れたら触らない、薄ければ置く、濃ければだしを足す

次に作るときは、ほかのおかずより先に肉じゃがを火にかけ、竹串が通った時点で火を止めて置くところまでを、まず一度試してみてください。

