さば 味噌煮 臭み 取り方を知りたいのは、前に作った味噌煮が生臭く、味噌を足してもごまかしきれなかったからかもしれません。さばは脂が多く、時間がたつほどにおいが強くなりやすい魚です。ただ、においの出どころは表面の水分とぬめり、骨のきわに残った血、酸化しやすい脂とおおむね決まっていて、下処理と煮る順番を押さえればかなり抑えられます。ここでは塩と霜降りの下処理、煮汁を沸かしてから入れる理由、しょうが・酒・酢・梅干しの使い分けまで、作る順に紹介します。
さばが生臭くなりやすい理由|においの元は表面・血・脂の3つ
「さばの生き腐れ」という言葉があるように、さばは鮮度の落ちやすい魚として昔から知られています。味噌煮にしても生臭さが残るなら、においがどこから来ているのかを先に押さえておくと、下処理で何を落とせばいいのかがはっきりします。
- 表面の水分とぬめり ― 海の魚の身に含まれる無臭の成分(トリメチルアミンオキシド)が、時間がたって増えた細菌に分解されるとトリメチルアミンに変わり、ごく微量でも生臭く感じられます。においは身の表面やパックのドリップに出てきます
- 骨のきわや腹の内側に残った血 ― 骨のまわりにこびりついた血は、酸化すると不快なにおいのもとになります。なお、身の中ほどにある赤黒い部分(血合い)は身の一部なので、味噌煮なら取らずに煮て構いません
- 脂の酸化 ― さば・あじ・いわしのような赤身の魚は脂が酸化しやすく、0℃で保存しても日ごとににおいが強くなることが研究で確かめられています。買ったらその日のうちに煮てしまうのが、何よりの臭み対策です
トリメチルアミンはアルカリ性の成分なので、酸と合わさると中和されて揮発しにくくなります。つまり、表面の水分と血は塩と霜降りで落とす、それでも残るにおいは酒や酢の酸と、味噌やしょうがの香りで抑える。さば 味噌煮 臭み 取り方は、この二段構えで考えると整理しやすくなります。

さば 味噌煮 臭み 取り方の下処理|塩をふる・切り込み・霜降りの順で
さば 味噌煮 臭み 取り方でいちばん差がつくのが、煮る前のこの工程です。農林水産省が紹介しているサバの味噌煮のレシピでも、最初に塩をふって10分ほど置き、出てきた水分を拭いてから皮に十字の切り込みを入れています。ここに霜降りを加えると、表面のぬめりや血までまとめて落とせます。
- 水気と血を拭う ― パックから出し、ドリップをキッチンペーパーで押さえて取る。骨のきわに血のかたまりが残っていたら、ペーパーの角でこそげ落とす
- 両面に塩をふって10分ほど置く ― 全体にうっすらかかる程度でよい。しばらくすると表面に水滴が浮いてくる
- 浮いた水分を拭き取る ― 上からペーパーを押し当てて、水滴ごと紙に移す
- 皮に十字の切り込みを入れる ― 煮ている間に皮が縮んで破れたり、身が反ったりするのを防ぐ
- 霜降りをする ― ざるに皮を上にして並べ、80〜90℃の湯を全体に回しかける。表面が白っぽく変わったら、すぐ冷水にとる
- 冷水の中で汚れを落とす ― 浮いてきたぬめりや固まった血を指の腹でなでて落とし、引き上げて水気をしっかり拭く
塩は「ふって拭く」までがひと組
ここで塩をふるのは、下味をつけるためというより、身の表面から水分を引き出すためです。浮いてきた水分にはにおいが溶け出しているので、拭き取らずに煮始めると、わざわざ引き出したにおいを煮汁に戻すことになります。塩はうっすら白く見える程度で十分なので、煮汁の味付けはいつもどおりで大丈夫です。
霜降りの湯は、沸騰の少し手前で
霜降りは、表面にさっと熱を通して、ぬめりや脂、血を浮かせて落とす下処理です。調理師専門学校の講師によると、湯は沸騰手前の80℃くらいが理想で、熱すぎると皮が破れやすく、ぬるいと臭みが残りやすいとされています。家庭なら、沸かした湯を火から下ろしてひと呼吸おいてから回しかければ十分です。表面の色が変わったら、長く置かずに冷水へ移してください。

さば 味噌煮 臭み 取り方の煮方|煮汁が沸いてから入れ、味噌は2回に分ける
さば 味噌煮 臭み 取り方の後半は煮方です。下処理で落としきれなかったにおいを煮汁に移さないようにし、酸と香りで抑えます。
煮汁を先に沸かしてから、さばを入れる
水・酒・みりんや砂糖・しょうがの薄切り、それに味噌の半量を鍋に入れて煮立て、沸いたところにさばを入れます。煮汁が煮立っていないうちに入れると、魚の生臭みが煮汁に移ってしまうからです。沸いた煮汁に入れると身の表面のたんぱく質がすぐに固まり、うまみも煮汁に逃げにくくなります。
- 鍋は切り身が重ならずに並ぶ、底の広いものを使う
- 皮を上にして並べる
- 煮汁は身の6〜7割がつかるくらいが目安
- 再び煮立ったら、浮いてきたアクをすくう
少ない煮汁なら最初から一緒に火にかけてもよいという考え方もありますが、臭みが気になるさばでは、沸いてから入れるほうが安心です。
落とし蓋をして、短い時間で煮上げる
落とし蓋には、煮崩れを防ぎ、少ない煮汁を全体に行き渡らせて味をしみ込ませる役目があります。アルミホイルやクッキングシートの中央に切り込みを入れたもので代用できます。先ほどの農林水産省のレシピでは、落とし蓋をして煮汁が少なくなるまで10分ほど煮ています。長く煮込むほど身は締まってかたくなるので、煮汁が少なくなったら、次の仕上げに移ります。
味噌は半量を先に、残りを仕上げに
味噌は加熱しすぎると香りが飛んでしまいます。そこで半量は最初の煮汁に溶かして味の土台にし、残りは火を止める直前に加えて香りを立たせます。味噌の香りは生臭さを覆い隠す役目も担うので、仕上げに香りが残っているかどうかで臭みの感じ方が変わります。仕上げの味噌は、お玉に取った煮汁で溶いてから加えるとダマになりにくくなります。最後に煮汁をスプーンで何度か身にかけると、表面に照りが出ます。開封後の味噌の風味を保つ保存のしかたは「味噌 保存 開封後 冷蔵庫|ラップの当て方と容器選びで最後まで風味を保つ」にまとめています。
火を止めたあとしばらく置くと、冷めていく間に味が身になじみます。煮物に味が入るしくみは「煮物 味が染みない 原因 冷ます|味は火を止めた後に入る。見直したい下ごしらえと冷まし方」で詳しく紹介しています。
しょうが・酒・酢・梅干しの役割と入れ方
臭みを抑える材料は、効き方が少しずつ違います。役割を知っておくと、手元にあるもので組み合わせを変えられます。
| 材料 | 臭みへの働き | 入れ方 |
|---|---|---|
| しょうが | 香りで生臭さを覆い隠す | 薄切りを最初の煮汁に入れる。盛り付けで針しょうがを添えると香りが立つ |
| 酒 | 蒸発するアルコールがにおいを一緒に連れ出し、含まれる酸が生臭さを中和する | 最初の煮汁に入れ、煮立ててアルコールを飛ばす |
| 酢 | 酸でトリメチルアミンを中和し、揮発しにくくする | 味噌大さじ2に対して小さじ1程度を煮汁に。ツンとしたにおいは煮ている間に飛ぶ |
| 梅干し | 酢と同じく酸で中和し、さっぱりした香りも加わる | ちぎって種ごと煮汁へ。塩気が加わるので少なめから入れ、味噌で加減する |
| 長ねぎ | 香りでにおいを和らげる | ぶつ切りを一緒に煮るか、白髪ねぎを添える |
味噌としょうがには、においを覆う以外の働きも報告されています。いわしを使った調理科学の研究では、味噌やしょうゆで煮た魚は冷蔵保存中の脂の酸化が抑えられ、しょうがと味噌を合わせるとその効果は味噌だけのときより大きくなりました。作り置きにするなら、しょうがを省かないほうが翌日もにおいが出にくいと考えられます。使いかけのしょうがは、「生姜 保存 長持ち 方法 冷凍|風味を保って3か月使い切るコツ」の方法で冷凍しておくと煮魚のたびに重宝します。

よくある質問
霜降りの湯を沸かすのが面倒です。省く方法はありますか
フライパンで焼き付けてから煮る方法があります。塩をふって水気を拭いたさばを、油をひいたフライパンに皮目を下にして入れ、焼き色がついたら返して裏も焼きます。フライパンに出た脂をペーパーで拭いてから煮汁の材料を加え、あとは同じように煮てください。焼き色の香ばしさで生臭さが気になりにくくなり、湯を沸かす手間も省けます。
できあがった味噌煮が生臭いときは、どうすればいいですか
煮上がってから臭みを完全に消すのは難しいものの、和らげる手はあります。
- 酢を少量加えて、ひと煮立ちさせる
- しょうがのせん切りを加えるか、針しょうがや白髪ねぎをたっぷり添える
- 味噌を少し足し、香りが立ったところで火を止める
- 七味唐辛子や粉山椒をふって食べる
次に作るときは、塩をふって拭く工程と、煮汁が沸いてから入れる順番をまず見直してください。
塩さばや冷凍のさばでも、同じ下処理でいいですか
塩さばはすでに塩がしてあるので、塩をふる工程は省きます。塩気が強いものは塩抜きしてから使い、煮汁の味噌は控えめにして味をみながら足します。表面の水気を拭いて霜降りをするところからは同じです。冷凍のさばは冷蔵庫でゆっくり解凍し、出てきたドリップをしっかり拭き取ってから下処理に入ります。ドリップにはにおいが溶け出しているので、ここを省くと臭みが残ります。まとめ買いしたさばを冷凍するときの手順は「魚 冷凍 保存 期間 やり方|切り身・干物・刺身まで家庭の冷凍庫で美味しく保つ実践ガイド」を参考にしてください。
さばのアニサキスは、味噌煮にすれば大丈夫ですか
さばはアニサキスが寄生していることがある魚の一つです。厚生労働省は、アニサキスの幼虫は70℃以上、または60℃なら1分の加熱で死滅するとしています。味噌煮は煮汁の中で火を通す料理なので、身の厚いところまでしっかり加熱すれば、この条件を満たせます。一方で、一般的な料理で使う酢でしめる、塩漬けにする、しょうゆやわさびをつけるといった方法では死滅しません。魚が死んで時間がたつと内臓から身へ移ることも知られているので、下処理のときに白い糸のようなものが見えたら取り除いておきましょう。

まとめ
さば 味噌煮 臭み 取り方は、においを「落とす」下処理と、「煮汁に移さず抑える」煮方の組み合わせです。
- 下処理 ― 塩をふって10分ほど置き、浮いた水分を拭く。皮に十字の切り込みを入れ、80〜90℃の湯で霜降りしてぬめりと血を落とす
- 煮方 ― 煮汁が沸いてから皮を上にして入れ、落とし蓋で短時間に煮る。味噌は半量ずつ2回に分けて加える
- 補う材料 ― しょうがと酒は最初の煮汁に。臭みが気になるさばなら、酢を少量か梅干しを足す
どれも台所にあるもので済みます。次にさばを買ってきたら、まずは塩をふって10分置き、浮いてきた水分を拭き取るところから試してみてください。


