エアコンの暖房が急に止まって温風が出なくなっても、寒い日なら故障ではなく霜取り運転のことがよくあります。室外機についた霜を溶かすための自動の運転で、機種や外気温によって違いますが、一般に数分から十数分ほどで暖房に戻ります。途中で電源を切り直さず、終わるのを待つのが基本です。ただし、何度も止まる、再開しない、エラー表示が出るといった場合は、別の原因も考えられます。この記事では、エアコン暖房が霜取り運転で止まるときの対処として、見分け方、待つ間の過ごし方、回数を減らす工夫、相談の目安を順に紹介します。
暖房が止まったのは霜取り運転?仕組みと見分け方
室外機に霜がつくと、暖房をいったん止めて溶かす
エアコンの暖房は、室外機で外の空気から熱を集め、その熱を室内機から温風として出しています。熱を集める室外機の熱交換器(薄いアルミの板が並んだ部分)は外の気温よりも冷たくなるため、空気中の水分が冷やされて霜になり、表面にこびりつきます。
霜が厚くなると空気が通りにくくなり、熱を集める力が落ちます。そこでエアコンは自動で暖房を止め、室内側に送っていた熱を室外機に回して霜を溶かします。これが霜取り運転です。その間は室内機から温風が出なくなり、霜が溶けると自動で暖房に戻ります。
霜がつきやすいのは、気温が低く湿度が高い日です。メーカーの案内では、おおむね5℃前後から氷点下数℃くらいで湿度が高いときに霜がつきやすいとされていて、雪や冷たい雨の日、冷え込んだ朝はとくに起こりやすくなります。寒冷地に限らず、どの地域でも起こる運転です。

霜取り運転中によく見られるサイン
- 寒い日の運転中に、温風が止まる、または弱くなる
- 運転ランプが点滅する(ランプや表示の出方は機種によって違います)
- 室外機から湯気が立つ、底から水がしたたる
- 室外機のファンが止まる。機種によっては「シュー」という音がする
ほかの「止まる」原因との見分け方
暖房の温風が止まる理由は、霜取り運転だけではありません。表を目安に、どれに当てはまるかを確かめてください。
| 状況 | 見分けるポイント | どうするか |
|---|---|---|
| 霜取り運転 | 寒い日の運転中に止まる。ランプの点滅や室外機の湯気がある | 数分〜十数分待つ |
| 運転を始めた直後 | スイッチを入れてしばらく風が出ない。冷たい風を出さないよう、室内機が温まるのを待っている | 数分待つ |
| 部屋が設定温度に近づいた | 部屋が暖まったあとで、風が弱まったり止まったりをくり返す | 正常な動き。寒ければ設定を見直す |
| フィルターの自動お掃除 | お掃除機能付きの機種で、長く運転したあとに暖房が中断する | 取扱説明書で動きを確かめる |
| 異常による停止 | いつもと違うランプの点滅やエラー表示が出る。止まったまま戻らない | 表示を控えて販売店・メーカーに相談 |
霜取りで止まっている間の過ごし方と、やってはいけないこと
電源は切らずに、終わるのを待つ
霜取り運転は、暖房を続けるために欠かせない運転です。止まったからといって電源を切ったり入れ直したりしても、室外機の霜は消えません。設定温度を上げても、霜取りが終わるまで温風は出てきません。かかる時間は機種や外気温によって違いますが、一般に数分から十数分程度なので、そのまま待つのがいちばんの近道です。
待つ間の寒さをやわらげる工夫
- サーキュレーターで空気を回す:暖かい空気は天井近くにたまりやすいので、天井に向けて回し、部屋の下のほうへ戻す
- 窓からの冷気を減らす:厚手のカーテンや断熱カーテンを床まで下ろし、すき間を作らない
- 加湿する:湿度が上がると、同じ室温でも暖かく感じやすい
- 体を直接温める:ひざ掛けや重ね着、厚手の靴下などを使う
環境省も、冬の暖房時の室温は20℃を目安にし、重ね着などを組み合わせて快適に過ごす工夫を呼びかけています。設定温度を上げすぎると室外機がより冷えて霜がつきやすくなるので、設定は控えめにして体感を上げる工夫と組み合わせるほうが、霜取りの回数を抑えるうえでも有利です。

室外機の霜を無理に取らない
早く暖房を戻したくても、室外機の霜を自分で取り除こうとするのはやめましょう。
- お湯や水をかける:かけた水がまた凍って氷が増えたり、まわりの地面が凍って滑りやすくなったりします。電気部品がぬれて故障につながるおそれもあります
- 叩いて割る、ヘラなどで削る:熱交換器のアルミの板は薄く、曲がったり傷ついたりしやすい部分です
- ヒーターやドライヤーを近づける:本体の樹脂や配線を傷めるおそれがあり、屋外で電気製品を使うこと自体にも危険があります
メーカーも、こうした方法は勧めていないことが多いです。霜はエアコンが自分で溶かすので、任せておくのがいちばん安全です。
霜取りで止まる回数を減らす、家庭でできる対策
霜取り運転そのものをなくすことはできませんが、霜がつきやすい条件を減らすことはできます。
室外機の吸い込み口と吹き出し口のまわりを空ける
室外機は、背面や側面から空気を吸い込み、正面のファンから冷たい空気を吹き出しています。前に物があると、吹き出した冷たい空気をまた吸い込んでしまい、熱を集めにくくなって霜もつきやすくなります。
- 植木鉢や物置、ゴミ箱などを室外機の前後に置かない
- 背面のフィンにはりついた落ち葉やビニール袋を取り除く(フィンの縁で手を切らないよう軍手をはめる)
- 吸い込み口や吹き出し口をふさぐカバーやシートをかけない
- 正面のファンの吹き出し口には、手や棒を差し込まない
雪の日は、室外機を雪に埋もれさせない
室外機が雪に埋もれると空気を吸い込めず、霜取りが増えたり、運転そのものができなくなったりすることがあります。雪が積もったら、室外機の前とうしろの雪をスコップでよけ、空気の通り道を作っておきましょう。本体をスコップで叩いたり、フィンを突いたりしないよう、少し離れたところから雪をよけるのがコツです。屋根から雪が落ちてくる場所や、足元が凍っている場所では無理をしないでください。
雪の多い地域では、室外機を高い台に載せる、防雪用のフードをつけるといった方法もあります。設置にかかわる工事なので、購入した販売店や工事店に相談してください。
室内機のフィルターをこまめに掃除する
室内機のフィルターがほこりで詰まると、暖房の効率が落ちて、霜取り運転も起こりやすくなるとされています。冬のあいだ毎日使う場合は、2週間に1回程度を掃除の目安にしているメーカーもあります。資源エネルギー庁も、家庭でできる省エネのひとつとして、エアコンのフィルターをこまめに掃除することを挙げています。
- 運転を止めて電源プラグを抜く(抜きにくい場合は、エアコンのブレーカーを切る)
- 前面パネルを開け、フィルターを外す(外し方は取扱説明書で確かめる)
- ほこりが付いている表側から、掃除機でほこりを吸い取る
- 汚れが落ちにくいときは裏側から水で流し、日陰で十分に乾かしてから戻す
カビのにおいが気になるときの手入れは、「エアコン カビ臭い 対策 掃除|自分でできる原因別の解消法」も参考にしてください。

対策をしても何度も止まるときは、点検を頼む
次のような様子があれば、霜取り運転だけでは説明がつかないかもしれません。冷媒ガスの不足やセンサーの不具合など、家庭では確かめられない原因も考えられるので、購入した販売店かメーカーの修理窓口に相談してください。
- 霜取りが終わっても暖房が再開しない
- 霜がつきにくい日でも、短い間隔で何度も止まる
- 室外機の霜が溶けきらず、氷が厚くなっていく
- いつもと違うランプの点滅や、エラー表示が出る
- 焦げたようなにおいや煙、いつもと違う大きな音がする(すぐに運転を止めて電源プラグを抜く)
相談するときは、室内機の側面などに貼られたラベルの型番、買った時期、止まった日時とそのときの天気、ランプの点滅のしかたやエラー表示を控えておくと、話が早く進みます。
よくある質問
霜取り運転は、どのくらいで終わりますか?
機種や外気温、霜のつき方によって違いますが、一般には数分から十数分程度です。冷え込んで湿度が高い日は、1日に何度か起こることもあります。目安の時間は取扱説明書やメーカーのサイトに載っていることが多いので、一度確かめておくと安心です。
室外機から湯気が出ています。火事や故障ではありませんか?
霜取り運転中は、溶けた霜が温められて湯気のように見えることがあります。寒い日に暖房を使っているときなら、多くは正常な動きです。ただし、焦げたにおいがする、黒っぽい煙が出る、いつもと違う音がするといった場合は、運転を止めて販売店やメーカーに相談してください。
室外機の下に水がたまったり、凍ったりしても大丈夫ですか?
霜が溶けた水が室外機の底から出るのは、霜取り運転では普通のことです。ただ、寒い地域では、その水が地面で凍って少しずつ氷が盛り上がり、室外機の底まで届くことがあります。通路が凍ると転ぶおそれもあるので、水の流れる先に物を置かないようにし、氷が大きくなるようなら販売店や工事店に相談しましょう。

霜取り運転を止めたり、しない設定にしたりできますか?
家庭用のエアコンでは、霜取り運転は自動で行われ、利用者が止めたり切ったりする設定は用意されていないことが多いです。霜が残ったまま暖房を続けると効率が落ちてしまうので、止めずに任せ、室外機まわりやフィルターの手入れで回数を減らすほうが現実的です。
まとめ
寒い日にエアコンの暖房が急に止まるのは、多くの場合、室外機の霜を溶かすための霜取り運転です。エアコン暖房が霜取り運転で止まるときの対処を、もう一度整理しておきます。
- ランプの点滅や室外機の湯気があれば、電源を切らずに数分〜十数分待つ
- 待つ間はサーキュレーターや加湿、重ね着で寒さをやわらげる
- 室外機の霜にお湯をかけたり、叩いたりしない
- 室外機のまわりに物や雪をためず、室内機のフィルターをこまめに掃除する
- 再開しない、何度も止まる、エラー表示が出るときは販売店やメーカーに相談する

まずは室外機のまわりに物や落ち葉がたまっていないかを見て、室内機のフィルターの汚れも確かめておきましょう。

