とんかつの衣がはがれない揚げ方|水気をふいて粉は薄く、油に入れたら衣が固まるまで触らない

とんかつの衣がはがれない揚げ方のイメージ画像 料理・食材保存

とんかつの衣がはがれるのは、多くの場合、肉の表面に残った水分と、厚くつきすぎた小麦粉のせいです。揚げている間に肉の水分が蒸気になって衣を内側から押し上げ、乾いた粉の層のところでずれてしまいます。防ぐには、筋切りをして水気をふき取り、小麦粉をごく薄くはたいてから、卵液とパン粉を順につけます。油は170℃前後を目安にし、入れたら衣が固まるまで触らないことも大切です。この記事では、とんかつの衣がはがれない揚げ方を、下ごしらえ、衣づけ、揚げ方と切り方の順に、家庭のコンロで試せる形でまとめます。

衣がはがれる原因と、下ごしらえで防ぐこと

衣がはがれたとんかつは、たいてい肉と衣の間にすき間ができています。すき間を作るのは、主に次の3つです。

  • 肉の表面の水分:揚げると蒸気になり、衣を内側から押し上げて浮かせる
  • 厚くついた小麦粉:卵液を吸いきれずに乾いた粉の層が残り、そこで肉と衣がずれる
  • 肉の縮み:赤身と脂身の境にある筋が熱で縮んで肉が反り返り、衣が追いつかずに割れる

症状から原因を見分ける

起きたこと 考えられる原因 直すところ
揚げている途中で衣がふくらみ、浮いてくる 肉の水気が残っている/粉が厚い 粉をつける直前に水気をふく、余分な粉をはたく
肉が反り返り、端の衣が割れる 筋切りをしていない 赤身と脂身の境に切り込みを入れる
片面だけ、まだらにはがれる 揚げ始めに箸で触った/油が浅くて鍋底についた 衣が固まるまで触らない、肉が浮く深さの油で揚げる
切るときに衣がずれて取れる 揚げてすぐ切った/包丁を押しつけた 2〜3分休ませ、包丁を前後に大きく引いて切る
衣が油っぽく、ふわふわと浮いている 油の温度が低い/一度に入れすぎた 温度を確かめ、入れる枚数を減らす

筋切りをして、厚みをそろえる

豚ロース肉の赤身と脂身の境目には、白っぽい筋があります。ここに包丁の刃先で、2〜3cm間隔に数か所、筋を断ち切るように浅く切り込みを入れます。裏側も同様にすると、揚げたときに肉が反りにくくなります。

厚みにむらがあれば、ラップをかぶせてめん棒などで軽くたたき、広がった分を手で寄せて形を戻します。

水気は、粉をつける直前にもう一度ふく

冷蔵庫から出したての冷たい肉は、中まで火が通る前に衣が色づきやすいので、揚げる15〜20分前に出しておきます。ただし置いている間に表面に水滴が浮くので、粉をつける直前に、キッチンペーパーで両面と側面を押さえてふき取ってください。冷凍した肉は冷蔵庫で解凍し、出てきたドリップも同じようにふきます。

塩とこしょうは、粉をつける直前に振ります。塩を振って長く置くと、ふき取った水分がまた表面に出てきます。

キッチンペーパーで水気をふき取った、とんかつ用の豚ロース肉2枚

衣づけは「薄い粉、卵液、パン粉」の順で密着させる

衣をはがれにくくするいちばんの近道は、小麦粉を薄くすることです。バットを3つ用意し、左から小麦粉、溶き卵、パン粉の順に並べておくと、流れ作業で手早く進められます。

小麦粉は全体に薄くまぶし、余分をはたく

肉を小麦粉のバットに入れて両面と側面に粉をまぶしたら、肉を持って軽くはたき、余分な粉を落とします。表面がうっすら白くなり、肉の色が透けて見えるくらいで十分です。そのまま1〜2分おくと、粉が肉の水分を吸ってしっとりなじみ、卵液がのりやすくなります。粉のつけ残しがあると、そこだけ卵液が弾かれて衣が浮くので、脂身のふちや側面まで忘れずにつけます。

溶き卵はよくほぐす。はがれやすいならバッター液に

卵は白身のかたまりが残らないよう、よく溶きほぐします。白身が残ると、その部分だけ卵液が厚くつき、衣が重くなります。

それでもはがれやすいときは、溶き卵に小麦粉を混ぜた「バッター液」を使う方法があります。卵1個に小麦粉大さじ4〜5、水大さじ1〜2を混ぜ、すくうととろりと流れ落ちるくらいの濃さに整えます。粉と卵が一体になっているので、粉の層が分かれにくくなります。この場合、最初の小麦粉は省いても構いません。

パン粉は手のひらで軽く押さえ、5分ほどなじませる

卵液をからめたら、余分を軽く落としてパン粉のバットに移します。上からもパン粉をかぶせ、手のひらで軽く押さえて全体につけます。強く押しつけるとパン粉がつぶれて衣が硬くなるので、貼りつける程度の力で十分です。側面も指でつまむようにしてパン粉をつけ、すき間を残さないようにします。

衣をつけたら、網をのせたバットに並べて5分ほどおきます。パン粉が卵液を吸ってなじみ、揚げている間にずれにくくなります。ただし長く置きすぎるとパン粉が湿ってべたつくので、なじんだら早めに揚げ始めます。

左から小麦粉、溶き卵、パン粉を入れたバット3つ

油の温度と揚げ方、油切りと切り方まで

揚げる段階で気をつけたいのは、油の温度と、揚げ始めに触らないことの2つです。

油は170℃前後、肉が浮く深さに

油の温度は170℃前後が目安です。低いと衣が固まるまでに時間がかかり、その間に肉から出た水分で衣が浮きます。高すぎると衣だけが先に色づいて、中の火の通りが追いつきません。温度計がないときは、次のどちらかで見当をつけます。

  • 菜箸を入れる:水気をふいた乾いた菜箸の先を油に入れ、箸全体から細かい泡が絶えず上がってくれば170℃前後の目安
  • パン粉を少し落とす:鍋の中ほどまで沈んですぐ浮き上がれば適温の目安。底まで沈んでなかなか上がらないなら低く、表面ですぐに散るなら高い

油は、肉を入れたときに鍋底につかずに浮くくらいの深さ(3cm以上が目安)を用意します。油が浅いと、鍋底に触れた面だけ衣が貼りついてはがれます。

入れたら1分は触らず、返すのは1回

  1. 肉を手前から奥へ、鍋のふちに近い油面からそっとすべらせるように入れる
  2. 1分ほどは箸で触らない。衣が固まる前につつくと、そこからはがれる
  3. 下の面がきつね色になったら、菜箸で端を軽く持ち上げて裏返す。返すのは1回が基本
  4. 泡が細かく小さくなり、肉が浮いてきて、持ち上げると軽く感じたら引き上げる

揚げ時間は、厚さ1cm前後のロース肉なら合計4〜5分がひとつの目安です。1.5cm以上の厚切りは、170℃前後で入れて衣が固まったら火を少し弱め、6〜7分ほどかけてじっくり揚げ、最後に火を強めて色をつけます。肉の厚みや量、コンロの火力で変わるので、時間だけで決めず、泡の様子と色で判断してください。

一度に入れるのは、油の表面の半分ほどが空いている枚数までにします。入れすぎると油の温度が下がり、衣が油を吸って浮きやすくなります。

深めの鍋の油で揚がっている、衣をつけた豚肉1枚

網の上で休ませ、火の通りを確かめてから切る

引き上げたら、網をのせたバットに立てかけるか、重ねずに並べて油を切ります。キッチンペーパーの上に寝かせると、下の面が蒸気で湿り、衣が浮く原因になります。

そのまま2〜3分おくと、余熱で中まで火が入り、肉汁も落ち着きます。豚肉は中心まで十分に火を通すのが基本です。初めて揚げる厚さの肉なら、いちばん厚い1枚の中央を切って、赤い部分や赤っぽい汁が残っていないかを見てください。残っていたら、油に戻して追加で揚げます。

切るときは、包丁を上から押しつけず、刃元から刃先まで使って前後に大きく引きながら切ります。押し切りにすると、衣だけが横にずれて取れてしまいます。波刃のパン切り包丁も、衣を崩さずに切りやすい道具です。

油を扱うときの注意

  • 揚げている間はコンロの前を離れない。離れるときは必ず火を消す
  • 肉の水気をふき、菜箸やトングも乾いたものを使う。水分は油はねの原因になる
  • 鍋は深さに余裕のあるものを使い、肉を入れても油があふれない量にとどめる
  • 油から煙が出てきたら温度が上がりすぎている。すぐに火を止める
  • 万一、油から火が出ても水はかけない。火を止め、消火器などで消す

よくある質問

揚げている途中で衣がはがれてしまったら、どうすればいいですか?

浮いてきた衣は押さえつけたり取り除いたりせず、そのまま揚げきります。少し浮いた程度なら、切ればそのまま食べられます。大きくはがれたときは、だしとしょうゆ、砂糖で玉ねぎを煮て、切ったとんかつを入れ、卵でとじてカツ丼の具にすると、衣が煮汁を吸うので気になりにくくなります。

卵がないときは、何でつなげばいいですか?

小麦粉を水で溶いた液でつなげます。小麦粉と水を同じくらいの量ずつ混ぜ、すくうととろりと落ちる濃さに整えます。肉にからめてパン粉をつければ、あとは卵のときと同じ手順で揚げられます。

少ない油で揚げ焼きにしても、衣ははがれませんか?

フライパンに1cmほどの油で揚げ焼きにしても、はがれにくく作れます。ただ、油が少ないと温度が下がりやすく、底に衣が貼りつきやすくなります。入れる枚数は1〜2枚にとどめ、衣が固まるまで動かさず、下の面にしっかり色がついてから1回だけ返してください。返す前に上の面へスプーンで油をかけておくと、上の衣が固まり、返したときに崩れにくくなります。厚切りは中まで火が通りにくいので、揚げ焼きには厚さ1cm前後の肉が向いています。

衣をつけた状態で冷凍しておけますか?

できます。衣までつけたら1枚ずつラップでぴったり包み、冷凍用の保存袋に入れて冷凍し、2〜3週間を目安に使いきってください。揚げるときは解凍せず、凍ったまま油に入れます。解凍すると、溶け出た水分でパン粉が湿り、衣がはがれやすくなるためです。凍った肉は中まで火が通るのに時間がかかるので、160℃前後のやや低めの油で生の肉より長めに揚げ、いちばん厚い部分の火の通りを必ず確かめてください。

衣をつけて1枚ずつラップで包んだ、冷凍前のとんかつ

まとめ

とんかつの衣がはがれない揚げ方は、肉と衣の間にすき間を作らないことに尽きます。押さえどころは次の6つです。

  • 筋切りをして、粉をつける直前に水気をふく。塩とこしょうも直前に振る
  • 小麦粉は薄くまぶして余分をはたき、側面までつける
  • 溶き卵はよくほぐし、はがれやすいときはバッター液を使う
  • パン粉は手のひらで軽く押さえ、5分ほどなじませてから揚げる
  • 170℃前後の油に入れたら1分は触らず、返すのは1回
  • 網の上で2〜3分休ませ、火の通りを確かめてから、包丁を引いて切る
網をのせたバットに取り出した、揚げたてのとんかつ2枚

次に揚げるときは、まず粉をつける直前の水気ふきと、余分な粉をはたくひと手間を足してみてください。

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