粕汁の作り方と酒粕の溶かし方|ちぎって温かいだしに浸せばダマにならない

粕汁の作り方と酒粕の溶かし方のイメージ画像 料理・食材保存

粕汁を作るとき、いちばんつまずきやすいのが酒粕の扱いです。板状の酒粕をそのまま鍋に入れると、表面だけがふやけて芯が残り、汁の中に白い塊が浮いてしまいます。コツは、酒粕を小さくちぎって温かいだしにしばらく浸し、やわらかくなってからのばして鍋に加えること。味噌は酒粕のあと、最後に溶き入れて、煮立てないようにします。この記事では、粕汁の作り方と酒粕の溶かし方について、4人分の分量と手順、ダマにしない下準備、板粕と練り粕の使い分け、アルコールの注意点、残った酒粕の保存まで順に説明します。

粕汁に向く酒粕の種類と、4人分の材料

酒粕は、日本酒をしぼったあとに残る固形分です。スーパーでは主に次のような形で売られていて、形によって溶けやすさと香りの強さが違います。

  • 板粕:しぼったあとの粕を板状にしたもの。白っぽく、香りはすっきりしています。粕汁でいちばんよく使われる形ですが、固いので、やわらかくしてから溶かす下準備が欠かせません。新しい板粕が多く並ぶのは、酒造りの季節にあたる冬から春にかけてです
  • 練り粕:板粕を寝かせて熟成させたもの。やわらかく、色はクリーム色から薄い茶色で、甘みと香りが強めです。魚や野菜の粕漬けに使われることが多いものの、粕汁にも使えます。香りが立ちやすいので、板粕より少なめの量から試すと味がまとまります
  • ペースト状の酒粕:袋やカップに入った、溶けやすく加工した商品。少量のだしでのばすだけで使えるので、手早く作りたい日に向いています

はじめて作るなら、板粕かペースト状のものが扱いやすいでしょう。甘酒用に砂糖などを加えた商品は汁物にすると甘くなりすぎるので、原材料が酒粕だけのものを選んでください。

4人分の材料と分量の目安

材料 分量 メモ
だし 800ml かつおと昆布の合わせだしがよく合う。顆粒だしでもよい
酒粕(板粕) 80〜100g はじめは80gで作り、物足りなければ足す
味噌 大さじ2〜3 甘口の白みそは塩気が弱いので、大さじ4前後から味を見る
豚こま切れ肉 150g 塩鮭2切れに替えてもよい
大根 5cm(約200g) いちょう切り
にんじん 1/3本 いちょう切りか短冊切り
こんにゃく 1/2枚 下ゆでしてから小さくちぎる
油揚げ 1枚 熱湯をかけて油抜きし、短冊切り
長ねぎ 1/2本 斜め切り。青ねぎの小口切りでもよい

酒粕の量は、だしに対して1割ほどがひとつの目安です。多くするほどとろみと香りが増し、少なくするとすっきりした味になります。酒粕のクセが苦手な人がいるなら、少なめから始めると失敗しません。

まな板にのせた板粕と、いちょう切りにした大根・にんじん

酒粕をダマにしない溶かし方

粕汁でいちばん多い失敗は、酒粕が溶けきらずに汁の中で白い塊になることです。板粕は水分が少なく、塊のまま鍋に入れると表面だけがふやけて、中は固いまま残ります。先に小さくちぎって温かいだしを含ませ、やわらかくしてからのばす。この順番を守れば、ほとんどダマになりません。

基本は「ちぎって、温かいだしに浸す」

  1. 酒粕を1〜2cm角くらいに手でちぎる。冷蔵庫から出したばかりで固いときは、包丁で細かく刻む
  2. 耐熱のボウルに入れ、温めただしを150mlほど注ぐ
  3. そのまま10〜15分置き、指で軽く押すとつぶれるくらいまでふやかす
  4. 泡立て器かスプーンの背でつぶしながら混ぜ、ポタージュくらいのなめらかさにする

だしは冷たいままより、温かいほうが早くなじみます。具を切っているあいだに浸しておけば、待ち時間はほとんど気になりません。

急ぐときや、酒粕が固いときの方法

方法 やり方 向いている場面
電子レンジ 耐熱容器にちぎった酒粕とだし(または水)を入れ、ふんわりラップをして600Wで30秒ほど加熱する。混ぜてまだ固ければ、10〜20秒ずつ追加する 浸しておく時間がとれないとき
味噌こし ふやかした酒粕を味噌こしに入れ、鍋の汁の中でへらで押しつけて溶かす 細かい粒も残したくないとき
すり鉢 ちぎった酒粕を少量のだしと一緒にすりのばす 乾いて固くなった酒粕、量が多いとき
そのままのばす 少量のだしを加えながらスプーンで混ぜる 練り粕、ペースト状の酒粕

電子レンジで温めすぎると、酒粕のふちが乾いてかえって溶けにくくなります。短めにかけて、様子を見ながら足してください。また、溶いた酒粕は一度に全部入れず、半量ほど入れて味を見てから残りを加えると、濃さを調整しやすくなります。

ちぎった酒粕を、温かいだしに浸してふやかしているところ

粕汁は、具を煮てから酒粕、味噌は最後に

酒粕の準備ができたら、あとは具を煮て、酒粕、味噌の順に加えるだけです。具に火を通してから酒粕を入れるのには理由があります。酒粕を入れてとろみのついた汁は鍋底が焦げつきやすく、強火で長く煮ると風味も落ちるからです。

手順

  1. 酒粕をふやかす:鍋でだし800mlを温め、そこから150mlほどを取り分けて、ちぎった酒粕を浸しておく
  2. 具の下ごしらえ:大根とにんじんは皮をむいて5mmほどの厚さのいちょう切りにする。こんにゃくは下ゆでしてスプーンで小さくちぎり、油揚げは熱湯をかけて油を抜いて短冊に切る。豚肉は大きければ食べやすく切る
  3. 野菜を煮る:鍋に残りのだしと大根・にんじん・こんにゃくを入れて火にかけ、煮立ったら弱めの中火にして、大根に竹串がすっと通るまで10分ほど煮る
  4. 肉と油揚げを加える:豚肉をほぐしながら入れ、油揚げも加える。アクが出たらすくい、肉の色が変わるまで煮る
  5. 酒粕を入れる:なめらかにのばした酒粕を加えて混ぜ、弱火で5分ほど煮る。鍋底が焦げつかないよう、ときどき底から混ぜる
  6. 味噌を溶き入れる:弱火のまま味噌を溶き、味を見て足りなければ少しずつ足す。ぐらぐら煮ると味噌の香りが抜けるので、煮立つ直前で火を止め、ねぎを加えて余熱でしんなりさせる

味がぼやける・クセが強いときの直し方

  • 味がぼやける:味噌を小さじ1ずつ足す。しょうゆをほんの少したらすと、味の輪郭がはっきりします
  • 酒粕のにおいが気になる:仕上げにおろししょうがを少し加えるか、食べるときに七味唐辛子をふる。次に作るときは酒粕を減らし、そのぶん味噌を足す
  • とろみが強すぎる:だしか水を少しずつ足してのばし、味噌で味を整え直す
  • しょっぱい:だしを足して薄める。豆腐を加えると、塩気がやわらいで食べごたえも出ます

酒粕は煮ると、つんとしたアルコールのにおいがやわらぎ、まろやかになります。ただし、加熱してもアルコールが完全になくなるわけではありません。子どもや運転する予定のある人に出すときの考え方は、次の「よくある質問」で説明します。

酒粕を加えて白く濁った、鍋の中の粕汁

よくある質問

Q. 粕汁のアルコールは、煮れば飛びますか?子どもや妊娠中でも大丈夫?

A. 酒粕にはアルコールが含まれています。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)では、酒かす100gあたりのアルコールは8.2gとされています。加熱すると減りますが、煮る時間や火加減、鍋の大きさによって残り方が変わり、ゼロになるとは言い切れません。小さな子ども、妊娠中や授乳中の人、お酒に弱い人、このあと車や自転車を運転する人には出さないか、別の汁物を用意しておくと安心です。子どもと同じ鍋で作りたいときは、酒粕を入れる前に子どもの分を取り分け、味噌だけで仕上げるのが確実です。

Q. 鮭を入れるなら、生鮭と塩鮭のどちらがいいですか?

A. どちらでも作れます。塩鮭を使うと、鮭から出る塩気とうまみが汁全体に広がり、昔ながらの粕汁らしい味になります。塩鮭はひと口大に切って熱湯をさっと回しかけ、余分な塩とくさみを落としてから、野菜がやわらかくなったところで加えます。鮭から塩気が出るので、味噌は大さじ1から入れて、味を見ながら足してください。生鮭なら、軽く塩をふって10分ほど置き、出てきた水気をふいてから使うと、くさみが出にくくなります。

Q. 作り置きはできますか?温め直すときのコツは?

A. 冷めたら冷蔵庫に入れ、翌日くらいまでに食べきるのが目安です。時間がたつと具が汁を吸い、とろみも強くなるので、温め直すときはだしか水を少し足し、弱火で底から混ぜながら温めます。煮立たせると味噌の香りが飛び、鍋底も焦げやすくなります。冷凍は、こんにゃくや大根、豆腐の食感が変わりやすいので、あまり向きません。

Q. 残った酒粕はどう保存すればいいですか?

A. 使いかけの酒粕は、乾燥とにおい移りを防ぐためにラップでぴったり包み、保存袋か密閉容器に入れて冷蔵庫へ。しばらく使わないときは、粕汁1回分(80〜100g)ずつ小分けにしてラップで包み、冷凍しておくと便利です。酒粕は凍らせてもかちかちになりにくいので、凍ったまま手でちぎるか包丁で刻み、温かいだしに浸せば、解凍とふやかしが一度に済みます。保存できる期間は商品によって違うので、パッケージの表示を目安にしてください。

置いておくうちに色が薄い茶色に変わったり、表面に白い粉のようなものが出たりすることがあります。これは熟成による変化とされ、においが酒粕らしいままなら使えます。一方、酸っぱいにおいがする、ぬめりや糸を引く感じがある、カビが生えている、といった場合は使わずに処分してください。

1回分ずつラップで包み、保存袋に入れた酒粕

まとめ

粕汁の作り方と酒粕の溶かし方のポイントを整理します。

  • 酒粕は塊のまま鍋に入れず、小さくちぎって温かいだしに10〜15分浸し、なめらかにのばしてから加える
  • 急ぐときは電子レンジで短く温める。粒を残したくないときは味噌こしを使う
  • 4人分ならだし800mlに酒粕80〜100g、味噌大さじ2〜3が目安。酒粕は少なめから始めて好みに合わせる
  • 具に火を通してから酒粕を入れ、味噌は最後に。味噌を入れたら煮立たせない
  • 加熱してもアルコールはゼロにならない。子どもや運転前の人には、取り分けや別の汁物で対応する
  • 残った酒粕は1回分ずつラップで包んで冷凍しておくと、次の粕汁がすぐ作れる
ごはんとおひたしを添えた、粕汁の晩ごはん

今夜作るなら、まず酒粕を80gだけちぎって、だしに浸すところから始めてみてください。

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