筑前煮の下ごしらえの順番|干ししいたけは前の晩に戻し、鶏肉は最後に切る。味がしみる煮方と冷まし方

筑前煮の下ごしらえの順番のイメージ画像 料理・食材保存

筑前煮は具が多く、下ごしらえの段取りで手間も仕上がりも変わる煮物です。最初に手をつけたいのは、戻すのに時間がかかる干ししいたけ。前の晩に水に浸けておけば、当日はこんにゃくの下ゆで、ごぼうとれんこんの水さらし、にんじん、鶏肉の順に、待ち時間なく進められます。味をしみ込ませるには、具の大きさをそろえること、砂糖を先にしょうゆを後に入れること、火を止めてから冷ます時間をとることの三つが効きます。この記事では、筑前煮の下ごしらえの順番とその理由、具ごとの切り方、炒めて煮る手順、冷まし方と保存まで順に紹介します。

筑前煮の下ごしらえの順番は、待ち時間の長いものから

筑前煮は、鶏肉と根菜、こんにゃく、干ししいたけを油で炒めてから煮る料理です。福岡では「がめ煮」、地域によっては「いり鶏」とも呼ばれます。具が多いぶん、思いついた順に切りはじめると、しいたけがまだ戻っていない、ごぼうが黒ずんだ、まな板を何度も洗う、といったことが起こりがちです。段取りの考え方は単純で、待ち時間の長いものから始め、生の肉は最後に扱うだけです。

前の晩から当日までの流れ

  1. 前の晩:干ししいたけをさっと洗い、たっぷりの水に浸けて冷蔵庫に入れる
  2. 当日、まず湯を沸かす:絹さやを使うなら先に塩ゆでし、同じ湯でこんにゃくを下ゆでする
  3. ごぼうとれんこんを切る:切ったそばから水に放ち(れんこんは酢水でもよい)、数分たったらざるに上げる
  4. にんじんを切る:水にさらす必要はないので、そのままボウルへ
  5. しいたけを切り、戻し汁をこす:戻し汁は煮汁に使う
  6. 最後に鶏肉を切る:ここで初めて、まな板と包丁で生の肉を扱う

絹さやを先にゆでるのは、においやアクの出るこんにゃくを後に回せば、湯を一度沸かすだけで両方済むからです。

鶏肉を最後にするのは、洗い物を減らすためです。加熱する野菜でも、生の肉を切ったまな板と包丁は洗ってから使うのが基本なので、野菜を全部切り終えてから肉を切れば、洗うのは一度で済みます。

量の目安(4人分の一例)

材料 分量の目安
鶏もも肉 1枚(約300g)
ごぼう 1本(約150g)
れんこん 1節(約150g)
にんじん 1本(約150g)
こんにゃく 1枚(約250g)
干ししいたけ 4〜6枚
絹さや 10枚ほど(彩り用・なくてもよい)
しいたけの戻し汁+だし 合わせて300ml
酒・砂糖・みりん 各大さじ2
しょうゆ 大さじ3
サラダ油 大さじ1

味の濃さは好みが分かれるので、初めて作るときは砂糖としょうゆを控えめに入れ、最後に味を見て足すと失敗しません。

水に浸けて戻している干ししいたけ

具材ごとの切り方と下処理

筑前煮の具は、2〜3cmほどの乱切りやひと口大にそろえるのが基本です。大きさがそろうと火の通りが均一になり、煮汁のしみ方にもむらが出にくくなります。そのうえで、火の通りにくいごぼうだけは少し小さめに切っておくと、ほかの具とやわらかくなる時間が合います。

具材 切り方 下処理
干ししいたけ 軸を落とし、大きいものは半分か4等分 水で戻し、戻し汁はこして煮汁に
こんにゃく スプーンや手でひと口大にちぎる 下ゆでしてから、から炒り
ごぼう ほかの具より小さめの乱切り 皮はたわしでこする程度。水に数分さらす
れんこん 皮をむき、乱切りか厚めの半月切り 水か酢水に数分さらす
にんじん 乱切り 特になし
鶏もも肉 余分な脂を除き、3cm角ほど 表面の水気を拭く

こんにゃくは、ちぎって下ゆでし、から炒りする

こんにゃくは包丁で切るより、スプーンや手でちぎるほうが向いています。断面がでこぼこになって表面積が増え、煮汁がからみやすくなるからです。下ゆでは熱湯で2〜3分ほど。独特のにおいが抜けます。「アク抜き不要」と表示された商品なら、表示に従って省いてかまいません。

ゆでたこんにゃくは、油をひかない鍋に入れて中火で炒り、表面の水分を飛ばします。チリチリと音がして表面が少し乾いてきたら十分です。水分を飛ばしておくと煮汁が水っぽくならず、こんにゃくにも味が入りやすくなります。鶏肉を焼く前に同じ鍋で済ませれば、洗い物も増えません。

ごぼうとれんこんは、さらしすぎない

ごぼうは皮の近くに香りがあるので、皮はむかずに、たわしでこするか包丁の背で軽くこそげる程度にします。切ったら水に放ち、数分さらせば黒ずみは防げます。長くさらすと香りやうまみまで抜けるので、数分たったらざるに上げておきます。

れんこんも、切ったらすぐ水にさらします。酢水にさらすと色が白く保たれ、歯ごたえも残りやすくなります。ほっくりした食感が好みなら水だけで十分です。どちらもざるに上げたら水気をよく切っておくと、炒めるときの油はねが減り、煮汁も薄まりません。

干ししいたけは、戻し汁まで使う

干ししいたけは、冷蔵庫で冷水に浸けて半日から一晩かけて戻すのが一般的です。熱湯で戻すと香りやうまみが出にくくなるといわれるので避けます。戻ったら軸を落とし、かさの大きいものは切り分けます。戻し汁は茶こしでこして煮汁の一部に使うと、だしだけで煮るより味に厚みが出ます。

鶏もも肉は、野菜よりひと回り大きめに

鶏もも肉は、黄色い脂のかたまりや筋を取り除き、3cm角ほどに切ります。加熱すると縮むので、野菜よりひと回り大きめにしておくと、仕上がりの大きさがそろいます。皮はつけたままのほうが、焼いたときに出る脂でコクが出ます。

水にさらしたごぼう、乱切りのにんじん、ちぎったこんにゃく

炒めて煮る順番と、味をしみ込ませる冷まし方

炒めるのは、鶏肉→根菜→こんにゃく・しいたけ

  1. 鍋(深めのフライパンでもよい)に油を中火で熱し、鶏肉を皮目から入れて焼く。表面の色が変わったら、いったんバットに取り出す
  2. 鶏肉の脂が残った鍋に、水気を切ったごぼう、れんこん、にんじんを入れて炒める
  3. 根菜全体に油が回ったら、こんにゃくとしいたけを加えてさっと炒め合わせる

鶏肉を先に焼くのは、皮から出る脂とうまみで野菜を炒めるためです。いったん取り出すのは、最初から最後まで煮続けると身が締まって固くなりやすいからです。根菜を先に入れるのは火が通りにくいからで、こんにゃくとしいたけは温まれば十分なので後から加えます。鶏肉を取り出さずに通して煮るレシピもありますが、やわらかく仕上げたいなら取り出すほうが失敗しにくくなります。

鶏肉を取り出したあと、根菜とこんにゃく、しいたけを炒めたフライパン

調味料は、砂糖とみりんを先に、しょうゆを後から

具を炒め合わせたら、しいたけの戻し汁とだし、酒を加えます。煮立ったらアクをすくい、砂糖とみりんを入れて落とし蓋をし、中火よりやや弱い火で10分ほど煮ます。そのあとでしょうゆを加え、さらに10分ほど煮ます。

砂糖を先に入れるのは、甘みは具にしみ込むのに時間がかかり、しょうゆを先に入れると甘みが入りにくくなるといわれているためです。調味料の「さしすせそ」と同じ考え方です。しょうゆは香りが飛びやすいので、後半に入れると風味も残ります。

根菜に竹串がすっと通るようになったら、取り出しておいた鶏肉を戻し、5分ほど煮て中まで火を通します。煮汁を飛ばしきらず、鍋底に1〜2cmほど残ったところで火を止めます。

味がしみるのは、火を止めてから

煮物の味は、煮ている間よりも冷めていく間に入るといわれます。火を止めたら鍋にふたをして、30分〜1時間ほど置いてください。ときどき上下を返して、具が煮汁に触れるようにしておくと、表面が乾かずに味が均一に入ります。時間があればいったん冷まし、食べる前に温め直すと、根菜の中まで味が入りやすくなります。

食べる前に中火で温め、火を少し強めて鍋をゆすりながら残った煮汁をからめると、表面に照りが出ます。器に盛り、ゆでた絹さやを斜め半分に切って散らせば完成です。

ただし、鍋のまま常温で何時間も置くのは避けます。大鍋の煮物は中心がなかなか冷めず、菌が増えやすい温度に長くとどまるためです。粗熱が取れたら保存容器に移して冷蔵庫に入れ、温め直すときは中までしっかり温めてください。

よくある質問

干ししいたけを戻す時間がないときは?

ぬるま湯に浸けると早く戻ります。薄い小ぶりのものなら30分〜1時間ほどが目安で、スライスされた商品ならさらに短く済みます。それも難しいときは生しいたけで代用できます。戻し汁がないぶん、だしを増やして煮汁の量をそろえてください。

こんにゃくの下ゆでは省いてもいい?

アク抜き済みの商品なら省けます。そうでないものは、下ゆでするとにおいが抜け、から炒りと合わせて味もしみやすくなるので、ひと手間かける価値があります。湯を沸かすのが面倒なら、塩をまぶしてもみ、水で洗い流す方法もあります。

鶏むね肉でも作れる?

作れますが、もも肉より脂が少なく、長く煮るとぱさつきます。そぎ切りにして焼いたらいったん取り出し、最後に戻して火を通すやり方を守れば、やわらかさが残ります。

作り置きは何日もつ?冷凍はできる?

清潔な保存容器に入れて冷蔵し、2〜3日を目安に食べきります。取り分けるときは清潔な箸を使ってください。冷凍もできますが、こんにゃくは凍らせるとスポンジのような食感になるので、冷凍する分からは除いておきます。根菜も少し食感が変わるため、冷凍した分は2週間ほどを目安に早めに使いきると、風味が落ちにくくなります。

白い保存容器に入れた、作り置きの筑前煮

まとめ

段取りは、前の晩に干ししいたけを水に浸け、当日はこんにゃく、ごぼうとれんこん、にんじん、しいたけ、鶏肉の順。待ち時間の長いものから始めて、生の肉は最後に扱います。

  • 具の大きさは2〜3cmにそろえ、火の通りにくいごぼうは少し小さめに
  • こんにゃくはちぎって下ゆでし、から炒りで水分を飛ばす
  • ごぼうとれんこんは数分さらしたら、水気を切って炒める
  • 炒めるのは鶏肉→根菜→こんにゃく・しいたけ。鶏肉はいったん取り出す
  • 調味料は砂糖とみりんが先、しょうゆは後
  • 火を止めたらふたをして冷まし、温め直すときに照りを出す

次に作るときは、まず前の晩に干ししいたけを水に浸けるところから始めてみてください。

煮汁をからめて照りを出した、鍋の中の筑前煮

あわせて読みたい

タイトルとURLをコピーしました